タサ５７００形の形式解説

【概要】
　２０トン積ＬＰガス専用車で、タサ５４００形２０トン車のタンク材質を従来のボイラー用鋼板から高張力鋼として、タンク重量を約６トン軽量化したもの。業界団体による標準設計車である。後継形式は熱絶縁を省略して大型化したタキ２５０００形２５トン車である。

【車歴】
　昭和３８〜４２年に５７００〜５７９９，１５７００〜１５７９９，２５７００〜２５７６１，３５７００〜３５７８６の１０２ロット３４８両が日車本店・三菱。富士重・日立・川崎・富士車両・飯野で製作された。なお２５７６２〜２５７９９は欠番である。

【外観と構造】
　全国プロパンガス協会による標準設計車のため基本諸元は統一され、メーカーによる裁量は保冷キセ外観やタンク受台形状などの細部に限られている。
　ガス定数は２．３５、タンク容積４７．３ｍ３で、タンク材質は高張力鋼である。タンク板厚は胴板１２ｍｍ・鏡板１６ｍｍで、寸法は直径１，９６０ｍｍ・長さ１６，０８０ｍｍに統一された。タンク周囲には保冷キセを持ち、断熱材は厚さ７５ｍｍグラスウールを標準とするが、メーカーにより材質・厚さが異なる。
　荷役方式はマンホール弁方式だが、配管や弁配置は業界統一設計となった。またタンク踏板も小型のものに標準化されている。
　台枠は平形で、長さは１７，０００ｍｍ・ＢＣ間距離は１３，７００ｍｍで、側面にジャッキ受を持つ。ブレーキ装置はタサ５４００形と同様、重量車用のＫＥ３０５形空気。台車は通常のＴＲ４１Ｃだったが、走行性能改善のため、昭和４０年製の途中からＴＲ４１Ｄ装備となり、番号も３５７００番台に飛んた。なお在来車の遡及改造は行われていない。

●日車本店製
　２９ロット９６両。キセは７分割でリング接続、タンク受台は折り目なし。

●日立製
　１８ロット８８両。キセは７分割でリング接続、タンク受台は折り目なし。

●三菱製
　１８ロット７１両。キセは５分割でボルト接続、受台は折り目あり。

●川崎製
　２０ロット５４両。キセは７分割でリング接続、受台は折り目あり。帯金受側面に穴がある。

●富士重製
　１１ロット２６両。キセは５分割（不等長）でボルト接続、受台は折り目なし。

●富士車両製
　５ロット１０両。キセは７分割でリング接続、タンク受台は折り目なし。

●飯野製
　１ロット３両。キセは３分割でボルト接続、タンク受台は折り目なし。

日車本店製　５７００

　　　　　　　　三菱製　５７９１


日立製　１５７０７

川崎製　１５７４６


富士重製　２５７２８

日立製　２５７４６

川崎製　タサ３５７０４