【概要】
30トン積酢酸ビニル専用車で、タサ4500形20トン車の大型化版。後継形式はキセ付35系として軽量化したタキ16200形35トン車である。
【車歴】
昭和35〜44年に8700〜8726の13ロット27両が富士重・日立で製作された。なお8708はタキ4800形からの改造車である。
【積荷の性質】
石油化学製品の一種で沸点72℃・凝固点−93℃・比重0.93の香気ある無色引火性液体。合成繊維(ビニロン)、酢酸ビニル樹脂・ポリビニルアルコール・各種ビニル系共重合樹脂の原料となる。鉄イオンによる重合を防止するため、普通鋼は使用しない。荷役方式は酢酸輸送への転用を考慮して、伝統的に上出し方式を採用している。
【外観と構造】
設計比重0.917〜0.934・タンク容積32.1〜32.8m3で、タンク材質はステンレス鋼と純アルミニウムとがある。タンク寸法はロットで異なり、周囲には保冷用キセを持つ。荷役装置は上入れ上出し方式で、S字管の有無は番号ないし時期により異なる。
台枠は平形で、台枠長さ・BC間距離はロットにより相違し、ブレーキ装置はKD254形空気、台車はTR41Cである。
●タイプ1 富士重製初期
8700,8703,8705〜8707の4ロット5両で、昭和35から37年富士重製。タンク材質はステンレス鋼で、寸法は直径が1,850mmと細く長さは12,610〜12,670mmと長い。断熱材はSP材で厚さは150mm。台枠長さは13,500mm・BC間距離は10,200mmである。
●タイプ2 日立製T
8701,8702,8704の2ロット3両でS35〜37年日立製。タンク材質はステンレス鋼で、寸法は直径が1,839mm・長さは12,630mm。断熱材と台枠長さはタイプ1と同一である。
●タイプ3 日立製U(アルミ製タンク体)
8708,8710,8711の2ロット3両で、昭和39〜40年日立製。8708は改造車だが種車の面影は無い。昭和電工KK向で、酢酸への転用を考慮したため加熱管の準備工事がある。タンク材質は純アルミニウムで、寸法は直径1,890mm・長さ11,930mm、断熱材は8708がSP材、8710と8711は厚さ140mmのグラスウールである。キセ外被はアルミ板製でタンク塗色は銀色である。タンク受台は大型のもの8台となった。
台枠長さは12,900mm・BC間距離は9,600mmである。
●タイプ4 富士重製後期
8709,8713〜8721の3ロット10両で、昭和39〜42年富士重製。タンク体はステンレス鋼製で、寸法は直径が1,900mmに増寸され、長さは11,860mmと短縮された。断熱材はタイプ1と同一である。台枠長さは12,800mm・BC間距離は9,500mmとなった。
●タイプ5 日立製V
8712の1ロット1両で、昭和40年日立製。日本合成化学工業KK向で、タイプ3(日立製U)のステンレスタンク版。タンク寸法は直径1,894mm・長さ11,844mmで、断熱材と台枠寸法はタイプ3と同一である。
●タイプ6 日立製W
8722〜8726の1ロット5両で、昭和44年日立製。日石輸送KK向で製造時期から近代的な外観・構造で、タンク受台は押え金式で留置ブレーキは両側となった。タンク体はステンレス鋼製で、寸法は直径1,900mm・長さ11,860mm、断熱材は厚さ100mmのウレタンとなった。
台枠長さはブレーキの両側化により12,400mmに短縮された。
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