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タキ23600形の形式解説

私有貨車

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タキ23500形
タキ23650形

 番号
解説


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形式編48
形式編50

積荷
●構造

入口


【概要】
 我国初の液体硫黄専用車で荷重は35トン、国鉄主導で開発されたと言われる。派生形式には転用改造車のタキ23650形34トン車がある。

【車歴】
 昭和47〜平成5年に23600〜23634の11ロット35両が富士重・三菱・日車で製作された。詳細はロット表を参照のこと。

【積荷】
 硫黄を140〜145℃で溶融した液体で、比重は1.78(145℃)。タンク車輸送される積荷では、最も高温である。原油の脱硫時に副生し、用途は硫酸や硫化物の原料である。タンク材質としては鉄を使用するが、耐候性高張力鋼は成分中の銅が硫黄と反応するため不適である。

【外観と構造】
 設計比重は1.78、タンク容積は19.6m3である。タンク材質はタイプにより異なるが、タンク周囲には輸送中も高温を保持するため厚さ200mmに達するグラスウール断熱材と薄鋼板製キセがあり、荷役時の過熱蒸気による再加熱用として蒸気加熱管を装備する。
 荷役方式は窒素加圧による上入れ上出し方式で、配管・弁装置類とマンホールはタンク上部に二個ある円筒形保温カバーに収納されている。

■タイプ1・普通鋼製タンク体
 23600〜23622の8ロット24両で、昭和47〜48年富士重・三菱・日車製である。
 タンク材質は普通鋼で、内面には高温酸化と硫化水素腐食を防止するためアルミニウムメタリコン処理が施されている。
 タンク形状はドームレスの直円筒タイプで、寸法は直径1,700×長さ9,430mmである。
 台枠は平形で長さは10,500mm・BC間距離は7,200mm、ブレーキは両側+KSD形積空、台車はTR41Cであった。
 外観はメーカーにより相違するが、製造期間が短かったため、同一メーカー内での変化は殆ど見られない。

■タイプ2・ステンレス鋼製タンク体
 23625,23626の2両で昭和49年日車製。
 タンク体腐食防止のため、タンク材質をステンレス製に変更したもの。留置ブレーキを手に変更したためデッキ部が長くなり、BC間距離は従来と同じだが台枠長さを10,600mmに延長した。台車はTR41Eである。

■タイプ3・保安対策車で溶接用圧延鋼製タンク体
 23627〜23631の5両で昭和53年日車製。
 保安度向上による重量増を吸収するため軽量化に意を注いだ設計で、タンク材質は耐候性高張力鋼が不適なため、溶接構造用圧延鋼(SM490A)にアルミニウムメタリコン処理したものとした。寸法も保安度見直しによる空容積増加で、タンク直径は1,700mmのまま、長さが9,706mmに伸びた。これに合せて台枠長さも10,800・BC間距離は7,500mmとなった。台車はTR225である。

■タイプ4・ステンレス鋼製タンク体
 23632〜23624の3両で平成5年日車製。
 タイプ3との相違はタンク材質を再度ステンレス鋼製とした点にあり、また走行系は時節柄タイプ3よりアップグレードされ、ブレーキ装置は手+CSD形積空、台車はTR213Cとなっている。


タイプ1(三菱製) 23602


タイプ1(日車製) 23611


タイプ1(三菱製) 23619


タイプ1(日車製) 23620
 

タイプ1(日車製) 23623


タイプ2 23625


タイプ3 23631



タキ23600形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 落成時の所有者
23600 S4710 富士重 三菱商事KK
23601〜23605 S4710〜4711 三菱 三菱商事KK
23606〜23612 S4710 日車 三井物産KK
23613 S4710 富士重 三井物産KK
23614〜23616 S4712 日車 日本石油輸送KK
23617〜23619 S4803 三菱 三菱商事KK
23620,23621 S4810 日車 日本石油輸送KK
23622〜23624 S4808〜4809 日車 三井物産KK
23625,23626 S4903 日車 日本石油輸送KK
10 23627〜23631 S5311 日車 日本石油輸送KK
11 23632〜23634 H0505 日車 日本石油輸送KK

【形式編49】100828作成R4B。