タキ３９００形の形式解説

【概要】
　初の３０トン積石炭酸専用車でタサ３４００形２０トン車を拡大版。後継形式は３５系キセ付タンク車であるタキ２０５００形３５トン車である。

【車歴】
　昭和２９〜４４年に３９００〜３９６５の６６両が三菱・富士重・日車支店・日車本店・若松車両で製作及び他形式から改造された。詳細はロット表を参照のこと。

【積荷】
　常温で白色結晶性固体（凝固点４１℃）の刺激臭ある有毒物質で、加熱融解して荷役する。芳香族化学での基礎薬品として合成染料・薬品・プラスチック・合成繊維原料として多用される。

【外観と構造】
　設計比重は１．０５、タンク容積は２８．５〜２８．９ｍ３であった。
　タンク体は純度保持のためステンレス鋼とする必要があるが、登場時はステンレス鋼のコストが高価であったため、初期の車両は普通鋼製タンク体の内面にステンレス薄鋼板を貼り付けたもの、中期はステンレス鋼と普通鋼のクラッド（合せ）板を用い、コストが低下した後期はムクのステンレス鋼製となった。荷役時のタンク加熱方法も加熱ムラによる固体残留を防止するため、タンク外周全体を温水で加熱するジャケット式を採用した。特徴的な形態の温水の給排水配管はこのためである。またタンク端部には補助積込口と配水管の止弁を持つため、タンク踏板が両端まで延長されている。

●三菱製
　３９００〜３９２７の２８両で、補助積込口は片妻一個のみ。タンク内面はステンレス薄板貼り。

●富士重製　円形キセ
　３９２８〜３９３１，３９３３〜３９３７は三菱製のコピーで補助積込口は一個。タンク内面はステンレス薄板貼り。

●富士重製　カマボコキセ
　３９４４，３９４７〜３９５０，３９６２，３９５５，３９５６，３９６０，３９６１で保温キセがカマボコ形。

●日車支店製
　３９３２でタンク踏板の短い異端車。タンク材質はクラッド鋼。

●日車本店製
　３９４５，３９２６，３９５３，３９５４，３９５７〜３９５９の３ロット７両。円形キセで補助積込口は前後二個。タンク材質はクラッド鋼。

●若松車両製
　３９５１で富士重製のコピー。タンク材質はクラッド鋼。

●富士重製　改造車
　３９６２でタキ８５５０形８５５７の改造車でタンク体はステンレスムク板製の新品。タンク受台は押え金式。

●富士重製　両側
　３９６３で、両側ブレーキを装備した。ブレーキ手摺を逃げるためタンク踏板の形状が左右逆となった。タンク材質はステンレス鋼製。

●富士重製　ドームレス
　３９６４，３９６５で３９６３のドームレス版。

３９０５


３９１２


３９３６
　

３９４８


３９５１


３９５６


３９６２