吉岡心平のマーク

タキ3850形3850

私有貨車

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タキ3800形
タキ3900形

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特別編2

●積荷
●構造

入口


 タンク車ファンが興味を寄せるものに多室タンク車がある。アメリカやヨーロッパと異なり我が国での採用例は極めて少なく、僅か4形式を数えるのみであった。
 具体的にはタキ3850・6950・8800・9800形の面々で、タキ6950形は私有貨車図鑑で、タキ9800形は私有貨車セミナー11回(RM129号)で、そしてタキ8800形は第13週で紹介したので、今回は残るタキ3850形を紹介する。

 タキ3850形は、昭和41年4月富士重で製作された尿素樹脂接着剤専用車で、豊年製油が生産していた「豊年レジングルー」の輸送用である。同時に15トン積2軸車のタム8900形、35トン積ボギー車のタキ4650形が製作されており、本形式はこれら三姉妹の第二子に当たる。
 1形式1両の30トン車だが、最大の特徴はタンク体がA〜D4室に分割されている点にあった。タンク体は普通鋼製のドーム付直円筒型だが、B室

以外の3室は通気管でB室のドームと連通され、ドームはB室一箇所にしかない。荷役は上入れ下出し方式で、積込口はB室はドーム上に、他のA・C・D室はタンク体上に設置され、吐出管はタンク体と台枠の間に4本並列に設置されていた。これらの構造は写真1を良くご覧頂きたい。
 このように他に類のない変わった車両だったが、登場から10年を経た昭和51年11月にタンク体を1室構造とする改造を受けた。改造ではタンク内部のA〜D室を底部で連通して1室としたが、不要になった3組の積込口と吐出管はあえて撤去せず、密閉しただけでそのまま残された。写真2は改造後の姿だが、多室時代の面影を良く残している。

 落成時の所有者は豊年製油KK・常備駅は清水だったが、平成に入ると所有者は社名変更によりホーネンコーポレーションとなり、平成元年10月に廃車となった。


●同一専用種別 タム8900形8900 昭和41年富士重製の15トン車。

           タキ4650形4655 昭和43年富士重製の35トン車。

●関連形式    タキ8800形8804 2室構造のタンク車で30トン積魚油専用車。

★参考文献 私有貨車セミナー11回(RM129号)  3室構造のタキ9800形。


タキ3850形3850の写真

【写真1001の1】 タキ3850形3850 昭和45年6月20日 高島駅にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】

タキ3850形3850の写真

【写真1001の2】 タキ3850形3850 昭和58年1月5日 水島港駅にて P:吉岡心平

1室構造に改造後の写真。吐出管は仕切弁を撤去した上で蓋閉めされている。


【特別編1】001123作成、010524本文修正+リンク追加、010821本文修正+写真1の1追加、020112リンク追加、020725リンク追加、040117R4、050413R4A、070915R4A2、131017R4C。