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タキ9000形の形式解説

私有貨車

 形式
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タキ8950形
タキ9050形

 番号
解説


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形式編31
形式編33

積荷
●構造

入口


【概要】
 35トン積のクロロホルム専用車で、この専用種別としては我国で初めてである。

 【車歴】
 昭和36〜56年に9000〜9022の13ロット23両が富士重・日立・日車・川崎で製作された。

 【外観と構造】
 設計比重は1.49・タンク容積は23.4〜23.5m3であった。タンク体は純度保持のためステンレス鋼製で、積荷は吸湿分解すると腐食性を持つため、残液防止に留意した設計である。また流入空気の除湿装置を持つ車両もあるが、地上設備により乾燥空気が供給できる場合はその限りでない。タンク直径は9010,9011を除き1,850mmであった。タンク周囲には、積荷の沸点が61℃と低いため保冷用のキセを持つが、断熱材材質はメーカーと製造時期により異なる。
 荷役装置は当初下出し方式だったが、有毒液体として保安度後は上出し方式に変更された。

●タイプ1 ドーム付・下出し荷役
 9000〜9004の5両でS36〜40富士重製。ドーム付のタンク体は長さ9,010mm、断熱材は厚さ100mmのスチレン、タンク内部にはステンレス管を用いた残液洗浄装置が設置されていた。
 荷役方式は下出し方式で、タンク下部にステンレス製の吐出管を持つ。また流入空気の除湿装置が設置されている。
 台枠は平型で長さ9,900mm・BC間距離は6,600mm、ブレーキ装置は手+KD形空気、台車はTR41Cから第二次台車改造でTR41DSに改造された。

●タイプ2 ドームレス・下出し荷役
 9005〜9007の3両でS43〜44日立製。ドームレスのタンク体は長さ9,240mmで、断熱材は厚さ50mmのウレタンとなった。荷役方式はタイプ1に準ずる。
 台枠は平型でブレーキ装置は両側+KSD形積空に変わり、台車はタイプ1と同様にTR41CからDSに改造された。

●タイプ3 V2タンク体・上出し荷役
 9008,9009,9012,9013,9017〜9022の10両でS49〜56富士重・日車製。
 保安対策で有毒性積荷の下出し荷役が禁止されたため、本形式も上出し方式となったが、これに伴いタンク内洗浄が困難となったため、残液防止に優れたV2タイプのタンク形状を採用し、洗浄装置を廃止した。
 タンク体はドーム付のV2タイプで、次第に空容積を増加したため、タンク体も次第に大きくなった。傾斜は20迄が1/100・21以降は1/50である。断熱材は厚さ100mmのグラスウールとなった。
 荷役方式は空気加圧による上出し方式で、配管・弁装置はドーム上部の円筒型プロテクタに収納されている。
 台枠は平型でブレーキ装置は手+KSD形積空、台車は13迄がTR41E、17〜20はTR225、21以降はTR213Cである。

●タイプ4 S1タンク体・上出し荷役
 9010,9011,9014〜9016の5両でS49〜50日車・川崎製で、タイプ3と併行して製作された。
 タンク形態はドーム付の直円筒形(S1)で、9010と9011は直径1,900mmで、吸湿装置も持たない。他はタイプ3と同様である。
 台枠は平型でブレーキ装置は手+KSD形積空、台車はTR41Eである。


タイプ1 9000


タイプ1 9002


        タイプ2 9007


タイプ4 9010


タイプ3(TR41E) 9013


タイプ3(TR225) 9018


タイプ3(TR213C) 9022


タキ9000形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 落成時の所有者
9000 S3611 富士重 信越化学工業KK
9001,9002 S3709 富士重 三井東圧化学KK
9003 S3812 富士重 信越化学工業KK
9004 S4003 富士重 信越化学工業KK
9005〜9007 S4312〜4402 日立 信越化学工業KK
9008,9009 S4905 富士重 信越化学工業KK
9010,9011 S4909 日車 三井東圧化学KK
9012,9013 S4910 富士重 三井東圧化学KK
9014〜9016 S5003 川崎 旭硝子KK
10 9017,9018 S5103 日車 信越化学工業KK
11 9019,9020 S5404 日車 信越化学工業KK
12 9021 S5409 日車 徳山曹達KK
13 9022 S5603 日車 徳山曹達KK

【形式編32】081221作成R4B。