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貨車構造・部品研究室−008


タキ35000形

液出(吐出弁)装置 

構造・部品−007

構造・部品−009

 

2002/2/22 作成

2002/3/31 修正


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構造-001 台枠   構造-002 タンク体  構造-003 受台,受板  構造-005 タンク上部配置,マンホール 

構造-006 安全弁 構造-007 はしご手摺及び踏板  構造-008 液出装置  構造-009 ブレーキ装置

■液出装置

 下出し方式の液出し装置は,タンク下部に設けた吐出弁と側梁内側に設けた仕切弁と配管から構成される。荷卸しは吐出弁を開け,左右何れかの仕切弁を開け行う。

■吐出弁の変遷

 昭和37年以前の標準的な吐出弁は,図24のハンドル式(ねじ式)を使用していた。ドーム内のハンドルを操作し開閉を行うもので、開閉操作が難しく,弁を回転させながら弁座に押しつけるため,キズ入りにより漏洩し易い欠点があった。タキ9900形式では弁を回転させず,上下のみのテコ式(図25)が考案されたがメタルタッチにより油

を止めるため、鉄錆等を噛んだ場合漏洩は避けられなかった。 

タキ35000の開発では、漏洩対策と保安対策のため、耐油ゴム又はテフロンシートにより気密を保ち、弁をタンク内部に移した構造とし,昭和40年代の標準吐出弁となった(図26)。

 その後,新宿や韓国のタンク車炎上事故が発生し,安全対策が強く求められた。成田空港ジェット燃料輸送用に用意されたタキ40000形では吐出弁が完全にタンクに内蔵され,吐出弁取付座もプロテクタ付となり,内蔵型吐出弁として完成された姿となった(図28)。これに対し,タキ35000用の吐出弁は半内蔵型と呼ばれている。

 

図24 ハンドル式吐出弁/30系タンク車

図25 テコ式吐出弁

図26 半内蔵型吐出弁/35系

図27 液出装置名称図

図28 内蔵型吐出弁名称図

 

■下作用(FB3108,FB3128)

 タキ35000形最初の57両分の図面である。ドームレス構造のため開発された下操作可能の吐出弁を使用し,側梁設けられた開閉ハンドル(部番15)からテコとリンクにより開閉を行う。タキ35057以降の151両は開閉装置が改良され,側梁に開閉銘板が取りつけられ,図番FB3108となった。

該当車
FB3108 : 35000-056
FB3128 : 35057-083,134-149,226-243, 274-283,
       357-364,371-380,448-462, 584-595,616-638,
       716-718,744-752

 

図29 液出装置[下作用](FB3108)

図30 液出装置[下操作](FB3128)

■上作用(FB3129)

 日本陸運輸送(株)所有車全車と日本石油(株)所有者の大多数の262両がこの上作用式を採用した。タンク上部の円筒形開閉軸箱がチャームポイント。昭和30年後半になると開閉状態が見えない従来の内ネジ式仕切弁から弁心棒の上下により開閉状況が見える外ネジ式に移行したが,タンクが太く側梁の大きい本形式ではハンドル操作がしにくいことが弱点があった。 

該当車
35084-093,150-225,244-253,381-447,596-615,640-645,
753-769,773-782,861-870,964-972,993-994,996-36014,
36065,36070-36074

 

図31 液出装置[上操作](FB3129)

■ボールバルブ(FB3151)

 日本石油輸送(株)をはじめ多くのユーザーは,コスト増にもかかわらず操作性と保守性の向上からボールバルブを採用し,本形式の過半数を越える637輌に達した。このボールバルブとフランジに代わるヨネカップリングは京都の米田工業(株)製で,このメーカーは工業用ボール弁と消防設備の製造で小生には馴染み深い会社である。

該当車 
35094-133,254-273,284-356,365-370, 463-583,646-715,
719-743,770-772,783-860,871-963,973-992,995, 
36015-36064,36066-36069,36075-36107

 

図32 液出装置[上操作,ボール弁](FB3151)


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