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貨車構造・部品研究室−002


タキ35000形

タンク体(FA3101) 

構造・部品−001

構造・部品−003

 

2002/2/24 作成

2002/3/31 修正


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構造-001 台枠   構造-002 タンク体  構造-003 受台,受板  構造-005 タンク上部配置,マンホール 

構造-006 安全弁 構造-007 はしご手摺及び踏板  構造-008 液出装置  構造-009 ブレーキ装置

 昭和30年代,長らく30t積であったガソリンタンク車は,タキ9900形式の誕生により初めて35t積車を実現した。タキ50000形で日本車輌が開発された魚腹型異径胴タンク体(F5s)と昭和36年に三菱が開発したフレームレス構造を組み合わせた,わが国初のフレームレスタンク車で,当時としては画期的な車輌であった。しかし,異形胴部分は,大型プレス機による成形が必要な手間のかかるものであった。

 昭和41年に開発されたタキ35000形は,タンク体に耐候性高張力鋼板(SPA)を採用し,タンク胴板厚さをタキ9900型の9mmから6mmに,鏡板厚さを12mmから8mmへと,大幅な軽量化を図った。さらに,結合部はロール成形が可能な同心円円錐型とし,製作し易い構造とした。、昭和40年代の高度成長を支えた標準タンク車となった。

■タンク本体

 下図はタンク体の製作図で,1から18の数字は部品番号をア、イ、ウ等のカタカナは断面及び詳細図記号を現す。

■部番1:鏡板(SPA t8)

 鏡板は板厚8mmのSPA板をプレス成形したもので、中央部の内半径は2,000mm,すみ部の内径は180mmである。イ部詳細は胴板と溶接部の詳細図で,胴板の6mm厚に合わせるため,鏡板フランジ部(内径2050mmの円筒部分)を切削し、溶接部の段差を解消している。

■部番2:胴板(SPA t6)

 円錐径にロール成形された長さ3,000mmの胴板で、標準設計は3枚をタンク上部と左右120゜ピッチの3ヶ所で溶接し葉巻形異径胴部を形成している(視ウウ参照)。1枚の鋼板で円錐形を成形するメーカーもある。

■部番3,4:胴板(SPA t6)

 内径2500mmのタンク中央部でロール成形されたSPA板をタンク上部から30゜位置で溶接している(断面キキ参照)。標準設計は長さ2341mmの胴板2個をタンク中央で継いでいるが、メーカーにより短い胴板を4個継いでいるロットもある。タンク溶接は「内面手溶接ウラハツリ後外面ユニオンメルト」と書かれている(エ部詳細)。また,部番2〜4の胴板同士の溶接は長手方向の溶接部が重ならないように設計されていることを注意して欲しい。

■部番6,7:補強(SS41 t9x65)
 タンク内面の補強環で,6本あり,板厚9mm,幅65mmの普通鋼帯製である。補強環の下部は300mmの隙間を設け残液を防止し,上部は半径20mmの半円穴を設けている(断面カカ参照)。

■部番5:補強(SS41 L50x50x6)
 タンク下面に設けた長さ500mmの山形鋼製のタンク補強で,部番6,7の補強環下部隙間部を補強することが目的と考えられる。

■部番8:握り棒(SGP 3/4)
 鏡板中心から300mm上部に取り付けた長さ1000mmの手摺であり,台枠端梁の手摺が強化された近年のタンク車では省略されている。

 材質のSGPとは配管用炭素鋼鋼管のことであり,呼びの3/4はインチ系の呼びで通常3/4BとBと付けて表現する。メートル系では20Aと現わし、外径は27.2mmである。

図−3 タキ35000形タンク体(FB3101)その1

 

■部番9:吐出弁座(SS41)

 タンク中心から前位に500mm偏った下面に隅肉溶接されたフランジ座であり,下方から吐出弁が挿入され,8本

のボルトで固定する構造である(断面タタ参照)。当初フランジ内径は225mmであったが,吐出し弁とフランジ内径との間の残留液を減少させるため,212mmに変更された(変更履歴C)。

図−3 タキ35000形タンク体(FB3101)その2,及び112mm吐出弁(FC3301)

 

■部番10:安全弁座(SS41)
■部番11:保護筒(SGP 5B)

 タンク車転覆時に安全弁損傷を防止する内臓式安全弁の取り付け座であり,タンク中心から前位に1150mm偏

った位置と更に300mm位置の2ヶ所のタンク上面に溶接されたフランジ座であり,その下面にタンク内部に向かい長さ390mmのSGP製5B(外径139.8mm)の保護筒が溶接されている。安全弁は安全弁座に6本のボルトで固定され、大部分は保護筒内にある。

図−3 タキ35000形タンク体(FB3101)その3,及び内蔵型安全弁(FC3304)

 

■部番12:計量口座(SS41)
■部番13:計量口座(SGP 6B→5B)
■部番14:補強(SPA2)

 計量口とはタンク車新製時に製作される積載量(体積)を測定する隙尺の測定基準面で,この取付座である。所有者によってタンク上部のマンホールを測定基準面として使用する場合には省略される。日本石油輸送所有車は省略されている。部番14の補強はタンク体に配管等を溶接する場合や外力が加わる構造材を取り付ける場合

に,タンクの変形を防止する強め板であり,受台及び受板の取り付けにも使用される。

■部番18:基準液面指示板(図番FD3638)

 過積防止用にタンク内部に取り付けた指示板で先端が公称容積の液面である。当初マンホール中心から300mmの位置に 取り付けていたが,液面指示板を見やすくするため,昭和42年1月25日付けで250mmに変更されている。

図−3 タキ35000形タンク体(FB3101)その4,及び計量口(FD3624),基準液面指示板(FD3638)


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