■75mm内蔵型安全弁
タンク車が脱線転覆した場合,外部に露出している安全弁が折損し,積荷が漏洩する事故が懸念され,安全対策上好ましくなく,保安度の
改善が課題となっていた。
ドームレス構造となったタキ35000形では内蔵型安全弁が開発され,弁機構全体がタンク内となった。さらに,昭和42年8月8日新宿駅構内で米タンが脱線炎上する大事故が発生し、弁類の内蔵化が徹底された。
タンク内圧力が上昇し,設定圧力になると弁(2)は弁棒案内(5),弁心棒(6),バネ座(8)を伴って,バネを圧縮しながら押し上げられ,弁座(4)を離れ,ガスが噴出する。
圧力が所定に戻るとバネの力で元に復帰する。作動圧力の調整は調整ナット(10)により行う。 |
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■安全弁設定圧力
昭和36年に制定されたタンク車のJIS規格(JIS E7101)及び昭和37年に制定されたタンク車設計基準(国鉄規格SZ10)では安全弁設定圧力等が次のように定められていた。
安全弁設定圧力 1種タンク車 :1kgf/cm2
2〜4種タンク車
:2kgf/cm2
タンク試験圧力 1種タンク車 :2kgf/cm2
2〜4種タンク車 :4kgf/cm2
数量 1種 : 1個
2種 : 2個(標記荷重20トン未満は1個)
安全弁の規定は,昭和37年に制定されたタンク車設計基準(国鉄規格SZ10)の見直しが昭和46年に行われ,昭和49年のJISタンク車の改正に一部が反映され,国鉄分割民営化時に制定された貨車構造心得に引き継がれている。
改正の要旨は、AAR(米国鉄道協会)及び高圧ガス保安協会で採用されている,火災時にタンク破壊を防止する考え方を取り入れたもので,圧力3.2kgf/cm2のときに最大噴出し量となる設計とし,タンクの耐圧試験圧力を1種も含め4kgf/cm2とした。安全弁の設定圧力も1.8kgf/cm2に統一した(1種は1kgf/cm2のまま)。 |