吉岡心平のマーク

タキ400形412

私有貨車

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タキ300形
タキ450形

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ロット表


タキ413

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特別編661
特別編663

積荷
●構造

入口


 今回はカセイソーダ専用車の嚆矢となったタキ400形を紹介しよう。
 私有貨車セミナーでも取り上げたが、濃硫酸や二硫化炭素に比較すると、カセイソーダタンク車の登場は昭和10年と新しい。これは固体輸送が可能だったためで、出現当時は「液状苛性」と変り者扱いであった。

 タキ412は昭和13年2月日車本店で製作された。タキ400形では3ロット目で、一両一ロットであった。

 本車の誕生には謎がある。何故なら落成直後の昭和13年3月、昭和10年製のタキ400号車が僅か3年で廃車されたからだ。当初は事故車の置換えと思ったが、同時期に廃車されたタキ300形300,301と共に三井三池向に転用された可能性が高い。何故、直接新製せずに振替のような事をしたのか、タキ400形とされる未公開図面との関連、そしてタオ18号車の酷似した台枠の由来は・・・謎は尽きない。

 タンク体は普通鋼製の溶接組立で、板厚は胴板

10mm・鏡板13mmと戦後の標準値より各1mm厚い。ドーム頂部はフランジ構造を採用したが、これは当時の日車の流儀で、タンク内部の清掃点検を重視したためだろう。タンク受台は硬木を挟み込んだアメリカ風で、センタアンカは車体中央の台枠横梁を避けるため、前後に2分割されているが、これ等も当時の日車製のプラクティスである。
 荷役装置は空気圧による上出し方式で、液出・空気管のS字管は初めから装備していた。
 台枠は平形で、長さ9,500mm・BC間距離5,950mmである。この端数は何に由来したのだろう? ブレーキはKD形空気+手で床下にはプーリーが見える。台車は当時標準のTR20だったが、第一次改造の際にTR41Dと交換された。

 落成時の所有者はレーヨン曹達KK・常備駅は伏木であった。戦時中の昭和20年1月に東亜合成化学工業KK所有となった。昭和29年2月に名電築港駅に移動し、昭和41年1月には昭和町駅常備となった。同年7月に傍系の鶴見曹達KKに移籍し鶴見川口駅常備となった。同駅から岳南鉄道や天竜川への輸送に使用されていたが、昭和50年に享年40歳で廃車となった。


タキ400形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 落成時の所有者
400〜409 S1012 日車本店 レーヨン曹達KK
410,411 S1205 日車本店 レーヨン曹達KK
412 S1302 日車本店 レーヨン曹達KK
413 S2408 川崎 大日本紡績KK
414 S2409 造機 興国人絹パルプKK
415,416 S2412 東洋レーヨン 興国人絹パルプKK
417 S2610 造機 日軽化工KK

タキ400形412の写真

【写真1662】 タキ400形412 撮影日不明 須津駅にて P:吉岡心平


【特別編662】060421作成R4A、070610R4A2、070921ロット表R3、081010R4BY、130920R4C。