吉岡心平のマーク

タサ5500形5502

私有貨車

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タサ5400形
タサ5600形

 番号
ロット表


タサ5508

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特別編448
特別編450

積荷
●構造

入口


 昔は掃いて捨てるように居た「LPタサ」の中でも、タサ5500形は貴重品だった。

 タサ5500形は昭和36〜37年に18両製作された液化プロピレン専用車で、詳細は私有貨車セミナーに譲るが、煮炊きや暖房に使うLPガスと異なり、有機合成原料の純プロピレンを輸送するため作られたいわばエリート貨車である。当時は石油化学工業の黎明期で、会社によっては従来の工場を活用するため、やむなく原料を輸送した。単価の安いエチレンやプロピレンをはるばる輸送するとは、今では考えられないことであった。

 タサ5502は00〜02の3両ロットとして昭和36年三菱で製作され、日車本店製の03〜06と競作された。昭和34年に作られたタム7200形15トン車の拡大版である。

 タンク体はボイラー鋼板製で、板厚は胴板21mm・鏡板23mmと我国の私有貨車中でも最厚の部類に入る。寸法は直径1,950mm・長さ15,750mmで、ガス密度の関係から長さはタサ5400形より約300mm短い。周囲には保冷用の断熱材と薄鋼板製のキセがあった。
 台枠は標準的な平型で、長さ16,700mm・BC間距離13,400mmであった。ブレーキ装置は自重増のため、直径365mmのシリンダを使用することになったが、貨車用では対応品種がなくやむなく客車用のAV形を採用した。なお付加空気溜は使用していない。

 所有者は三井化学工業KK・常備駅は笠寺で、南四日市からのプロピレン輸送に充当された。所有者名は昭和43年10月に三井東圧化学KKに変わった。昭和57年2月に姿を消した。


タサ5500形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 落成時の所有者
5500〜5502 S3608 三菱 三井化学工業KK
5503〜5506 S3608 日車本店 三井化学工業KK
5507,5508 S3610 日立 日本石油輸送KK
5509,5510 S3610 日立 三菱石油KK
5511〜5513 S3702〜3703 日車本店 日本曹達KK
5514,5515 S3704 日立 セントラル石油瓦斯KK
5516,5517 S3705〜3706 日車本店 ゼネラル瓦斯KK

タサ5500形5502の写真

【写真1449】 タサ5500形5502 昭和54年1月14日 南四日市駅にて P:吉岡心平


【特別編449】031229作成R4、040110リンク追加、050410R4A、060712ロット表追加+R2、070603R4A2、090311R4BY、100612R4B、130614R4C。