吉岡心平のマーク

タキ700形701

私有貨車

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タキ650形
タキ750形

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特別編273
特別編275

積荷
●構造

入口


 今回のリクエストは、数少ない戦中派タンク車のタキ700形である。
 戦前から戦中にかけて、石油資源に乏しい我国では、石炭を液体化して石油とする「石炭液化」が国家プロジェクトとして推進された。工場は産炭地近傍に建設されたので、生産された合成油の輸送用としてタンク車が必要とされ、様々なタンク車が計画された。ところが我国の技術水準では、大半のプラントが未完成に終わり、運開したプラントも満足な運転が出来ず、合成油は殆ど生産されなかった。このためタンク車も、実際に製作された車両は極めて少数に留まっている。

 タキ701は25トン積ガソリン専用車で、700と一緒に昭和18年8月新潟で製作された。
 外観・構造は、側梁ほ省略した台枠、前後に2分割されたセンタアンカ、タンク体から張り出した梯子受など、戦前〜戦中製の新潟製の特徴を余

すところなく発揮している。周囲に張り出したドーム頂部で判るように、落成時はタンク周囲にキセを巻いていたが、タンク踏板や梯子受の取付部の段差でも判るように、ギセの厚さは薄かったようだ。なおこのキセは、後に撤去されている。
 台車はTR20だが、時節柄、ボルスタは鋳鋼でなく形鋼を組立たもので、車軸にも短軸を用いている点が珍しい。

 落成時の所有者は三井化学工業KK・常備駅は大牟田であった。所有者は昭和20年8月に日本人造石油KK、戦後に三池合成工業KKと変遷し、昭和37年4月には三井化学工業KKに戻った。更に昭和44年1月には、三井コークス工業KKに移籍された。常備駅は一時期、宮浦となった他は、一貫して大牟田であった。昭和56年10月に廃車となったが、写真のように廃車後も、線内の化成品輸送に使用されていたようである。


タキ700形701の写真

【写真1274】 タキ700形701 昭和57年3月23日 宮浦駅にて P:吉岡心平

荷重30トンと標記されているが、一体いつ頃からだろうか?


【特別編274】030919作成、050412R4A、070829R4A2、989331R4BY、110817R4C。