タキ5200形5249 |
私有貨車 |
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●積荷 |
■入口 |
奥山さんのリクエストは、三菱鉱業が所有していたタキ5200形である。 ホルマリンの原料となるメタノールは、天然ガスとして得られるメタンから合成される。メタンは気体のため輸送コストが高いので、産地の工場でメタノールに変えてから目的地に輸送するのが一般的だ。このためメタノール専用車は、新潟や千葉、秋田など天然ガス田のある地方の名物であった。一方、特異な例として、炭鉱の坑内ガスを用いたメタノ−ル合成が、大三菱鉱業大夕張鉱業所で行なわれていた。今回紹介するタキ5200形30トン積メタノール専用車は、製品輸送のため、炭鉱会社が自ら増備したのものである。 タキ5249は5262までの14両からなるロットのトップナンバーとして、昭和34年9月三菱で製作された。 |
外観・構造はタキ5200形では標準的だが、降雪地帯で使用するため、タンク踏板はグレーチング(格子)とされ、雪が積もっても滑りにくい構造とされていた。ドーム手前側に小型の通気弁が設置されているが、降雪などでマンホールが開けられない時のために用意された物と思われる。ブレーキシリンダは空気溜と一体となったKC型を使用しているが、これは昭和30年代前半の三菱製に見られる特徴であった。 落成時の所有者は三菱鉱業KK・常備駅は大夕張炭山であった。昭和41年10月に新興に移動したが、昭和44年12月、所有者が三菱江戸川化学KKに変更された際に、大夕張炭山駅常備に戻った。昭和46年12月三菱瓦斯化学KKに社名変更し、昭和49年10月には焼島駅常備となった。平成5年10月新崎、平成7年12月藤寄と異動したが、平成12年12月に廃車となった。 |
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【写真1192の1】 タキ5200形5249 昭和59年9月8日 焼島駅にて P:吉岡心平
【写真1192の2】 タキ5200形5254 昭和46年9月16日 本輪西駅にて P:堀井純一
【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】
メタノール専用車の荷卸し中の貴重な写真。ドームにある札には「大夕張炭鉱株式会社、大夕張炭山駅常備」とある。一時期新興に常備駅変更されていた事を考え合せると、晩年は本輪西で一旦ケミカルタンカーに積み替え、京浜地区まで船舶輸送していたのではなかろうか。 |