吉岡心平のマーク

タム500形2540

私有貨車

 形式
索引

タム400形
タム600形

 番号
[ロット表]

タム2524
タム2572

 ページ
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特別編187
特別編189

積荷
●構造

入口


 今回のリクエストは「タンクの太いタム500形」である。

 タンク体の設計では、その容積に応じてタンクの太さと長さをバランスよく変えるのが普通だ。つまり細いタンクは短く、太いタンクは長くなる訳である。ところが、時に例外が現れるから面白い。貨車研究者としては、まさに頭の使い所である。

 昭和24から25年初めにかけて川崎車両では、タキ3000形の長さだけを短縮したようなタンク車を続々と世に出した。レパートリーは広く、2軸車からボギー車まで、ガソリンからベンゾール・苛性ソーダ液までカバーしていた。その後、このプラクティスによる新製は姿を消したので、当時何らかの事情があったと考えられる。現時点での作業仮説は、第一が「部材(鏡板・ドームなど)の標準化による製作合理化」、第二が「樺太向タンク車の転用」である。

 第一の仮説は自明なので、第二の仮説について説明しておこう。昭和23年、川崎では貿易公団向けにタキ3000N形30トン積ガソリン専用車を10両製作した。この輸出では、タキ1100形の項で

解説したように、文キャンセルにより注文流れが発生した可能性が高い。余談だが、昭和24年川崎製で、タキ3000形で初の私有ロットとなったタキ3050〜54も、この事例と考えられている。

 タム2540は昭和25年1月に2539〜41の一員として川崎で製作された。タンク体廻りはタキ3000形と類似し、特にドラムカンタイプのドーム廻りなどそっくりである。写真を見ていて気になるのは、タンク梯子の取り付け方である。台枠があるのに、わざわざタンク体からステーを出して固定している。樺太向のタキ3000N形は側梁を省略していたから、こうする必然性があった。してみると、樺太向に一旦組み立てたものを分解して、長さを短縮したのだろうか・・・ う〜ん謎である。

 落成時の所有者は丸善石油KK・常備駅は下津で、昭和29年7月に海を渡り函館に異動し、昭和33年8月には七重浜駅常備となった。昭和37年9月から昭和38年8月の間、社名は丸善石油販売KKに変更されている。ヨンサントウでは無事2段リンクとなった。昭和46年6月、北埠頭駅常備となってからは、釧路近傍で使用されていたが、昭和56年10月に廃車となった。


●関連形式 タキ1100形1103 樺太向タキN3500形の転用と思われる車両。

        タキ1500形1505 樺太向タキN3000、N3500形のプロトタイプとなった車両。


【特別編188】020411作成、020708リンク追加、021213リンク変更、040423写真2を特別編484として独立、050413R4A、070615R4A2、090626R4BY。

タム500形2540の写真

【写真1188】 タム500形2540 昭和56年8月6日 釧路操駅にて P:吉岡心平