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タキ9800形9829

私有貨車

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タキ9750形
タキ9900形

 番号
解説

タキ9820
タキ9841

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特別編176
特別編178

●積荷
構造

入口


 今回取り上げたのは、私有貨車の世界ではあまりにも有名な「多室のタキ9800形」である。

 フレームレス構造が特徴で99系に属するタキ9800形35トン積石油類専用車のうち、多室構造を持つ車両は、タキ9829〜32の4両で昭和37年10月に日車本店で製作された。潤滑油など、多品種かつ少量輸送が必要となる特殊油種の積載専用車として開発されたものである。

 タキ9829はその長兄で、タンク体は端部A室・中央部B室・端部C室とに3分割され、偏荷重を防ぐためA室とC室とはタンク底部の連通管で液体部が、タンク外部のパイプで気体部がそれぞれ一体化されている。このため積載出来る積荷は、A+C室とB室の2種であった。またA+C室用の

ドームと安全弁、そして吐出弁はC室にのみ設けられ、A室は点検用のマンホールだけが設置されている。なお本車を運用する際には、A+C室とB室の両方を満載しなければならない制限が附されていた事を付記しておこう。
 結論から言って懲りすぎだったようで、写真を撮影した昭和51年時点では、A+C室とB室は一体化され、通常のタキ9800形と共通に使用されていた。この改造に伴いA+C室用の安全弁・吐出管は撤去されている。

 落成時の所有者はシエル石油KK・常備駅は東新潟港であった。半年後の昭和38年3月には常備駅が浜安善に変更された。その後は関東地区中心に使用されていたが、昭和56年4月に廃車となった。


タキ9800形9829の写真

【写真1177の1】 タキ9800形9829 昭和51年4月29日 塩浜操駅にて P:吉岡心平

タキ9800形9829の写真

【写真1177の2】 タキ9800形9829 昭和51年4月29日 塩浜操駅にて P:吉岡心平

右側のドームにある蓋は、一室化に伴い安全弁を撤去した跡である。


【特別編177】020309作成、040911R4050213R4A、081128R4BY、100411R4B、140113R4C。