貨車銘板研究室−012 川崎造船所→川崎車輌→川崎重工 昭和57年改造 川崎重工 (ホキ5900形5901) |
2002/4/24 作成 |
■社名の変遷(車輌製作工場)
■ 昭和57年改造 川崎重工 製造 写真70 製造年の後に「改造」の文字が入っている銘板は,何らかの改造が行われたときに取付られる銘板である。また,「改造」の後の「○にM」は全てメートルねじが使用されていることを表す。貨車の組立には多くのボルト類が使われているが,従来,これに使われているねじはインチ系のウイットねじであった。貨車では昭和40年代後半までこのインチ系のねじが使用され続けた。 この銘板の主は,34トン積カーバイド専用ホッパ車で,昭和57年に6輌が同時に誕生した。カーバイド専用ホッパ車の嚆矢は,昭和31年に登場したホキ250(I)形30トン車で昭和37年までに98輌が製造され,昭和37年のホッパ車改番でホキ6000形に改番された。35トン車は昭和35年に誕生し,当社ホキ5200(I)形を名乗っていたが,昭和37年改番でホキ5600形となり,昭和42年までに74輌に達した。こうして総計172輌を数えたカーバイドホッパ車も昭和50年になると激減し,本形式が誕生した昭和57年当時,4輌にまで減少していた。カーバイド専用車は過去のものとなりつつあった昭和57年に,カーバイド専用車が製造されたこと自体驚きであった。 本形式は,昭和50年代広範に盛んに行われたタキ1500形転用改造車の仲間で,本車はタキ15400から改造された。改造では,種車のタンク体と受台を撤去し,残った下廻りにカーバード積載容器(車体)を新製し取り付けた。 わが国のカーバイド鉄道輸送は,カーバイド積載容器を国鉄の長物車に固定し,輸送したことが始まりである。このため,容器下面に荷卸口を設けられず,側面に設ける珍しい構造となった。以降,カーバイド輸送の増大に伴い,専用の私有貨車が大量に新製されたが,これらは全て同様な構造であった。 カーバイドは炭化カルシウムのことで,水と激しく反応しアセチレンガスを発生する。このため,車体に流入する空気内の水蒸気を除去する吸湿装置が片側に設置されている。荷卸用ハッチが両側面に設けられており,写真71の4カ所の四角い箱がそれであるある。なお,積込は車体常備のマンホールから行われる。 カーバイド鉄道輸送の末期に登場した本形式も,短期間のあだ花であったようで,平成元年1月に全車車籍除外され,カーバイド鉄道輸送の歴史に幕を下ろした。
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川崎の銘板 昭和13年 川崎車輌 製造 チキ1500形1627 昭和24年 川崎車輌 製造 昭和25年 川崎車輌 同和鉱業片上鉄道 昭和36年 川崎車輌 タキ2100形12149 昭和46年 川崎重工 タキ6350形6354 昭和57年改造 川崎重工 ホキ5900形5901 平成元年 川崎重工 コキ103形1,175 コキ102形99 |