吉岡心平のマーク

タキ5300形5338

私有貨車

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タキ5200形
タキ5350形

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ロット表

タキ5332

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特別編552
特別編554

積荷
●構造

入口


 家内とおせち料理を買出しに行った。そこで見たカマボコに触発されて、今回はタンク車のカマボコを紹介する。

 タキ5300形は日車開発のカマボコ形粉体タンク車の一党で、35トンセメント専用車として昭和39〜41年に40両が製作された。チチブセメントが愛用し、関東近辺で広く見られたので、同社独特とのイメージが流布しているが、実は北海道にこんな変り種が隠れていたのである。

 タキ5338は昭和41年4月日車支店製で、35〜39の6両ロットに属する。
 どこが変わっているかは一目瞭然、タンク断面がタキ3800形に酷似した「鍵穴形」となっているのだ。これは設計比重が1と低く、タンク容積が

33.7mと、チチブより3.3mも大きいためである。
 タンク体は普通鋼製で、板厚は胴板4.5mm・鏡板6mmと薄い。寸法は頂部直径が2,300mmとチチブより100mm太くなり、長さは8,600mmと逆に100mm短い。
 台枠は粉体タンク車通例の枕梁間の中梁を省略したタイプだが、石油タンク車を得意とした日車だけあって11系タンク車に酷似した構造となり、長さは9,700mmで、チチブより100mm長い。

 落成時の所有者は富士セメントKK・常備駅は東室蘭だった。昭和45年10月には親会社である富士製鉄の合併に伴い、社名が日鐵セメントKKに変わった。東札幌のストックポイントに運用されていたが、昭和59年12月に全車廃車となった。


●参考文献 吉岡心平「カマボコ形タンク車のすべて・私有貨車セミナー第31回」;RM149号(1996)


■主要諸元
製造年   昭和41年4月
製造所   日車支店
設計比重 1.04
タンク容積 33.7m3
●上廻り
タンク形態 カマボコ形
タンク材質 普通鋼
タンク板厚 胴板4.5・鏡板6mm
タンク直径 2,300mm
タンク長さ 8,600mm

●荷役方式
荷役方式 エアスライド式
●下廻り
台枠形式   枕梁間中梁省略形
長さ      9,700mm
BC間距離  6,400mm
留置ブレーキ 手
空気ブレーキ KD254形
台車      TR41C形

タキ5300形5338の写真

【写真1553の1】 タキ5300形5338 昭和57年7月28日 東札幌駅にて P:吉岡心平

タキ5300形5338の写真

【写真1553の2】 タキ5300形5338 P:吉岡心平所蔵

落成時と思われる写真で、富士セメントKK時代の姿である。


【特別編553】041228作成R4A+写真1553の2追加、070831R4A2、090126R4BY、130905諸元追加+R4C。