吉岡心平のマーク

タキ1900形1933

私有貨車

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タキ1800形
タキ2000形

 番号
[ロット表]

タキ1900
タキ11926

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特別編238
特別編240

積荷
●構造

入口


 長門さんからのリクエストは、わが国の私有貨車で最大両数を誇るタキ1900形の中で、手動切換式の積空ブレーキを持つ車両とのことだ。

 殆どの方々は「積空ブレーキって自動で切換わるんじゃないの」と思われるだろう。ところがかつてタキ1900形には、100両を超える手動切換車が存在したのである。このリクエストが非凡な点は、まさにこの点に着目したことにある。

 タンク車における積空ブレーキは、昭和30年代中頃から、荷重40トン以上の大型車、即ちタキ8400、9200、50000、55000などの諸形式に適用されてきた。そのメカニズムは各社まちまちで、作動も円滑とは言えず、トラブル多発により空車状態に固定して運用される事も多々あったようである。

 このような状況下の昭和39年12月、初の40トン積セメント専用車であるタキ1900形が登場した。従来は少数だった40トン車と異なり、本形式は大量製作が予想されたため、積空ブレーキは問題の多かった自動切換式を諦め、手動で切換えることとした。

 タキ1933は1922〜67の46両ロットの一員として、昭和40年4月川崎で製作された。
 タンク体はタキ7300形と同じFE2タイプ異径胴

で、台枠を車体と一体化することで自重を削減したものである。なお、初期形の特徴として、タンク手摺がなく踏板位置が高いこと、台枠側枠に250mmチャンネルを用いていることに注目されたい。

 さて、写真2を見て頂きたい。台枠上にある装置が問題の積空切換弁で、白く塗られたレバーを操作することで、積空を切り換える訳だ。なお、一部資料ではこのブレーキ方式はUC型と称されている。「U」はU切換弁からついたものと想像されるが、「C」の由来は不明だ。もともとチキ5000形コンテナ貨車で導入された名称をそのまま使ったためと思われるのだが・・

 その後、昭和40年末に台車と積空切換弁との間をリンク機構で結び、自動切換式とする手法が開発され、タキ1900形も昭和41年2月製のタキ11926からは、この方式に改良された。従ってタキ1900〜99、11900〜25の126両が手動切換式積空ブレーキを装備した車両と言うことになる。ただ話を複雑としているのが、これらの中で後天的改造で自動切換式となった車両が多数存在することだ。

 落成時の所有者は住友セメントKK・常備駅は四ツ倉であった。昭和45年2月に常備駅は陸奥湊に移動した。落成から21年目の昭和61年9月に廃車となった。


タキ1900形1933の写真

【写真1239の1】 タキ1900形1933 昭和52年8月17日 八戸貨物駅にて P:吉岡心平

タキ1900形1933の部分写真

【写真1239の2】 タキ1900形1933の細部 昭和52年8月17日 八戸貨物駅にて P:吉岡心平


【特別編239】020723作成、020802リンク追加、040511R4、050427R4A、070717R4A2、130726R4C。