吉岡心平のマーク

タ3900形3905

私有貨車

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タ3800形
タ4000形

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ロット表

タ3902
タ3921

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第244週
第246週

積荷
●構造

入口


 変形車誕生の原因の一つに事故復旧が挙げられる。事故の際の標準的取扱いは金銭賠償だが、例外的に大量の復旧車を生んだ事例が存在した。
 昭和38年2月28日、信越線越後岩塚駅構内で、貨物列車が脱線した。貨車42両中33両が四重五重に積み重なる脱線であった。このうち大破したタンク車はタ3905・タキ3349・タキ3314・タキ3251・タム2201・タム425の6両があり、いずれも廃車相当の損害を受けた。ところが、この6両は奇跡の復活を遂げたのである。

 タ3900形10トン積ガソリン専用車は、タ3902を既に紹介したが、今回取り上げたタ3905はこれと同一ロットで、昭和30年11月日車支店で15両製作された本形式第一ロットの一員であった。
 小生が「このクルマは怪しい」と気付いたのは、タンク体に社紋板取付用の突起がない事だった。良く見ると、台枠に銘板がなく、更に付いていた形跡もない。台枠と軸箱守の取付方法も異なる。

 2段リンクへ改造された車両なら、改造工場の差によるものと考えればよいのだが・・・
 結論から言うと、事故復旧は新津が担当したが、実際には一両全体を新製した可能性が高いのである。

 設計比重は0.73、タンク容積は13.7m3であった。タンク体は普通鋼製で、10トン積のため直径1,700mm・長さ6,300mmと小型である。
 台枠は平形で、長さは7,100mm・軸距は4,000mmであった。走り装置は最初から2段リンク式である。

 落成時の所有者はスタンダードヴァキューム石油会社・常備駅は浜安善で、釧路臨港を経て昭和35年8月に本輪西駅常備となったが、僅か2ケ月後の昭和35年10月に、他の14両と一緒に日本石油輸送KK所有・沼垂駅常備となった。
 この後、柏崎発清滝行重油積で事故に遭遇した訳である。昭和56年2月に廃車となった。


タ3900形3905の写真

【写真245】 タ3900形3905 昭和51年7月30日 秋田港駅にて P:吉岡心平

この写真は吉岡写真CD−ROM第30巻に「P01761」として収録されています。


【第245週】050508作成R4A、070906R4A2、090220R4BY、130909R4C。