吉岡心平のマーク

タキ300形382

私有貨車

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タキ250形
タキ400形

 番号
[ロット表]

タキ344
タキ390

 ページ
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第223週
第225週

積荷
●構造

入口


 今回はタキ300形の中で、変わったカタチの割には、数が多かったタイプを紹介しよう。

 タキ382は昭和25年10月に日立で製作された30トン積濃硫酸専用車である。所有者である日本鉱業では、当時タム400形20両(1545〜1564)と本形式37両(タキ352〜388)を一挙に増備した。
 メーカーの日立では戦争中にタム100形を大量生産したことで有名だが、ボギータンク車の作品は少なく、国内向の量産品としては、これが初めてと言って良いだろう。

 タンク容積は16.6m3と本形式としては標準的であった。タンク体は普通鋼製で、板厚は胴板10mm・鏡板13mmと後の標準値より各1mm厚い。タンク寸法は直径1,706mm・長さ7,700mmであった。直径にある端数の原因は、鏡板と

の板厚差ではないかと思われる。
 荷役装置で、図面では液出管と空気管に苛性ソーダ専用車のようなS字管があるが、濃硫酸の場合は腐食が激しく、保守に難渋したため後に撤去された。
 台枠は戦後の一時期流行った側梁省略タイプで、長さは8,600mm・BC間距離5,000mm、であった。長さに比べてBC間が短いが、これは当時製作されたボギータンク車共通の特徴である。台車はTR41Cから、第一次台車改造でTR41Dとなった。

 所有者は日本鉱業KK・常備駅は日立であった。大半は一生を日立で過ごし、昭和50年代から60年代にかけて廃車されたが、写真のタキ382を含む15両は、九州の幸崎駅に移動し、佐賀関精錬所の濃硫酸輸送に使用された。その後、老朽化により昭和62年12月に廃車となった。


■主要諸元
製造年   昭和25年10月
製造所   日立
設計比重  1.84
タンク容積 16.6m3
●上廻り
タンク形態 直円筒(S1)形ドーム付
タンク材質 普通鋼
タンク板厚 胴板10mm・鏡板13mm
タンク直径 1,706mm
タンク長さ  7,700mm

●荷役方式
荷役方式 上入れ上出し式
●下廻り
台枠形式   側梁省略形
長さ       8,600mm
BC間距離   5,000mm
留置ブレーキ 手
空気ブレーキ KC254形
台車      TR41→TR41D形

タキ300形382の写真

【写真224】 タキ300形382 昭和49年12月31日 吉原駅にて P:吉岡心平

この写真は吉岡写真CD−ROM第26巻に収録されています。


【第224週】041212作成R4A、070624R4A2、090220R4BY、100721諸元追加+R4B。