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タキ10450形10472

私有貨車

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タキ10400形
タキ10500形

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解説

タキ10470

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第115週
第117週

積荷
●構造

入口


 弊私有貨車研究所は、硝酸タンク車に冷淡なようである。その理由は「私有貨車セミナー」で、既にタム100形と希硝酸タンク車を取り上げたためだが、これで割を食ったのが今回取り上げるタキ10450形などの濃硝酸専用ボギー車達だ。

 タキ10472は73と共にタキ10450形最後のロットとして、昭和49年3月三菱で製作された。
 積荷の濃硝酸はもともと熱膨張率が高く、分解して酸化窒素ガスを発生する性質があり、米国では遮熱装置付のタンク車で輸送していた。我国でも戦前期には遮熱装置付の車両もあったが、その後は裸タンク体が標準となり、僅かに銀色塗装が遮熱を考慮した名残であった。
 戦後もこれが設計プラクティスとして定着していたが、昭和40年代末期に暑熱時に安全弁からのガス噴出事故が多発した。この対策として昭和49年後半以降製作する車両については、タンク空容積を見直すことになり、在来車については、タンク体はそのままながら荷重を減らすことで保安度を向上することにした。かくして昭和49年8月に濃硝酸・甲種硝酸の専用車は荷重を約一割減らしたが、これが世に言う「濃硝酸タンク車の減トン」

の顛末である。

 タキ7500形を拡大した35トン車として、昭和43年から24両が製作された本形式も、この改正で32トン積となり、これ以降の増備車はタンク体を一回り大きくし、キャノピー形の遮熱装置を装備したタキ29000形に移行している。

 設計比重は1.48、タンク容積は23.9m3、タンク材質は純アルミニウム製で、直径は1,885mm・長さは8,910mmであった。タンク受台はアルミタンク車の通例として大型で、帯金固定部の切欠きが半円形なのがお洒落である。
 台枠は標準的な平台枠で、長さは9,400mm・BC間距離は6,100mmで、台車は初めからTR41E−12であった。

 落成時の所有者は旭化成工業KK・常備駅は南延岡であった。35トン積だったのは僅か5ケ月間で、昭和49年8月に荷重32トンに減トンされた。写真のように専ら宮浦の三井東圧への濃硝酸輸送に使用されていたが、平成8年9月には三菱化学KKに移籍し、黒崎駅常備となり、現在に至る。


■主要諸元
製造年   昭和49年3月
製造所   三菱
設計比重 1.48
タンク容積 23.6m3
●上廻り
タンク形態 直円筒(S1)形ドーム付
タンク材質 純アルミ
タンク板厚 胴板13・鏡板16mm
タンク直径 1,885mm
タンク長さ 8,910mm

●荷役方式
荷役方式 上入れ上出しS字管付
●下廻り
台枠形式   平形
長さ      9,400mm
BC間距離  6,100mm
留置ブレーキ 両側
空気ブレーキ KSD180−254形積空
台車      TR41E−12形

タキ10450形10472の写真

【写真116】 タキ10450形10472 昭和50年3月3日 宮浦駅にて P:吉岡心平


【第116週】021117作成、040123R4、050412R4A、070621R4A2、080312リンク追加、081117R4BY、121215諸元追加+R4C。