吉岡心平のマーク

タ3700形3700

私有貨車

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タ3600形
タ3800形

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[ロット表]


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特別編592
特別編594

●積荷
●構造

入口


 タ3700形は11トン積クラフトパルプ廃液専用車で、昭和34年2両がタム900形とタム200形から改造された。種車が異なるため一品一様の趣である。
 積荷は「黒液」と称され、さまざまな物質を含むが、これを酸分解・蒸留するとトール油ロジンと脂肪酸が得られるため、ロジンメーカーが原料輸送のために使用した。

 タ3700は昭和34年1月汽車でタム900形978から改造された。種車は東北振興パルプ向に昭和24年1月に東洋レーヨンが製作した15トン積カセイソーダ液専用の戦災復旧車で、改造の一月前に荒川化学に譲渡された。

 改造点の骨子は熱絶縁の追加と荷重変更にあり、タンク容積11.5mのまま設計比重を1.26から0.98に変更したため、荷重は15トンから11トンに減少した。

 タンク体は周囲に保温用熱絶縁を新設したが、構造が奇妙で仕様書によれば厚さ60mmのアスベストの上に90mmの発泡スチロールを重ねたとされる。ちなみにタム3900形の熱絶縁は通常50mmだから、本形式の重装備振りが際立つと言うものだ。タンク受台は従来のものを転用したが、熱絶縁の厚さだけ嵩上げ改造を受けている。
 台枠は種車の戦災国鉄貨車由来のものをそのまま転用し、長さ7,100mm・軸距3,900mmであった。ブレーキは手+KD形空気、走り装置は1段リンクからヨンサントウで2段リンクとなった。

 所有者は荒川林産化学工業KK・常備駅は磐城西郷であった。その後、常備駅は昭和37年9月に高萩、昭和38年2月に磐城西郷を経て、同年12月に伯耆大山に移動した。松材の減少による品質低下で国産原料は次第に不適となり、昭和40年頃から輸入原料への切替が進んだ。昭和47年12月に廃車となった。


●同一専用種別 タキ8750形8750(特別編314)  昭和42年新潟製で藤本産業KK向。25トン積のボギー車。

           タキ11750形11750(第170週) 昭和43年新潟製で藤本産業KK向。35トン積の後継形式。


【特別編593】050531作成R4A、060906本文修正、070910R4A2、081230R4BY。

タ3700形3700の写真

【写真1593】 タ3700形3700 日時場所不明 P:鈴木靖人

【鈴木さんから貴重な写真を提供して頂きました】

追加された保温材が極厚のため、どてらを着たタム900形と言った風体である。