吉岡心平のマーク

シキ110形110

私有貨車

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シキ90形
シキ115形

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特別編593
特別編595

積荷
●構造

入口


 今回は戦時買収で、私鉄の大物車から私有貨車に変身したシキ100形を取り上げる。

 シキ110形は35トン積弓形梁式大物車で、昭和19年2月に鶴見臨港鉄道のシキ200形とシキ300形を各一両づつを、国鉄車籍に編入した形式である。

 シキ110は昭和12年汽車で、鶴見臨港鉄道シキ200形200として誕生した。一年前に製作された30トン車である同社シキ100形の増備で、荷重を5トン増した点が異なる。

 外観・構造は一見すると国鉄シキ40形と似ているが、良く見ると「似て非なる」点が目に付く。
 車体はシキ40形と同じく全鋼製の鋲接組立で、4本の弓形梁からなる側梁・中梁を端梁・枕梁、そして複数の横梁で結合した構造で、長さ(11,500mm)・BC間距離(8,200mm)も同一である。

 一方、問題なのは横梁の数で、シキ40形は4本だが、本車はそれが5本に増えている。低床面長さは4,800mmとシキ40形と同じだが、レール面上高さは645mmと45mm低減された。
 弓形梁式大物車の進化とは、低床面をより長く・より低くすることである点から勘案すれば、本形式はシキ40形からワンステップ進んだ形態だと言ってよいだろう。
 台車は標準的なTR20形だが、驚くべきことに短軸を使用している。国鉄で短軸装備のTR20が登場するのは資源が乏しくなった昭和17年以降だから、本形式の場合は自重軽減を目的とした特製品だったと見て間違いないだろう。

 落成時の所有者は芝浦製作所KK・常備駅は海芝浦だったが、車籍編入の時点では、東京芝浦電気KKとなっていた。僚車であるシキ111は昭和21年6月に廃車されたが、本車はその後も長く活躍し、昭和57年12月に姿を消した。


【特別編594】050601作成R4A、081230R4BY。

シキ110形110の写真

【写真1594】 シキ110形110 昭和47年頃 海芝浦駅にて P:吉岡心平