吉岡心平のマーク

タ600形863

私有貨車


 タ600形は明治期の代表的タンク車だが、弊サイトでは初登場だ。

 タ600形は10トン積石油類タンク車で、600〜826の227両は昭和3年の大改番で、明治〜大正期に製作された諸形式をまとめたものである。その後作られた827〜869の43両は昭和製だが、他形式からの改造など訳ありのクルマが多い中で、三菱商事は昭和4年から11年にかけて各社で15両のタ600形を新製した点で特筆される。

 タ863はその内の一つで、15両の中では最終ロットに属し、昭和11年10月汽車で861〜864の4両が製作された。
 タンク体は全溶接構造だが、上記した理由から本形式で溶接缶体を持つものは珍しい。タンク受

台は缶体との間に木を挟んだ、汽車独特の構造となった。
 台枠は平形で、全体としてワ22000形のものに酷似し、軸距は3,000mmである。走り装置はシュー式だが、側梁との間に高さ100mmのコマが挟まれている。これは古くは側梁に250mmチャンネルを使っていたものを、自連化で150mmにダウンサイズした際の名残りであった。

 所有者は三菱商事KK・常備駅は扇町で、その後常備駅は昭和14年3月新潟臨港、昭和16年4月手宮に移った。戦時統制による石油共販KK・石油配給KK所有を経て、戦後は三菱石油KK所有・扇町駅常備で再出発したが、昭和36年4月に雄別埠頭に異動し、ヨンサントウで北海道内限定運用車となり、昭和46年7月に廃車となった。


ガソリン・石油類専用車のガイド(タ〜タサ編)


【特別編399】030708作成、040922R4、050422R4A、070726R4A2。

タ600形863の写真

【写真1399】 タ600形863 昭和44年8月20日 帯広駅にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】