吉岡心平のマーク

タ900形921

私有貨車

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タ600形
タ1000形

 番号
ロット表

タ900

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特別編240
特別編242

積荷
●構造

入口


 戦前生まれの「タ」と聞くと、兎角古びたクルマを想像するが、今回紹介するタ921はなかなか近代的なタンク車である。

 タ921はタ900形10トン積ガソリン専用車のラストナンバーで、昭和12年7〜8月新潟で20両製作された内の一両である。10トン車は当時既に小型で、何故製作されたかは考察を要するが、戦前期の日本石油はタサ700形20トン車を大量増備したにも拘らず、タム500形は一両も所持しなかったことから推論すれば、同社は10トンと20トン車の2種を輸送単位とする構想があり、本車はこの構成要素として製作されたものと思われる。

 外観・構造は、既に製作されていたタム500形を一回り小型にしたものである。意外なのはタンク

固定用の帯金が、タンク受台に固定されていることだ。「そんなの当り前じゃないの・・」と思う方はタム549(昭和12年新潟製)やタム590(昭和17年新潟製)の写真をご覧頂きたい。当時の新潟製タム500形では、帯金とは台枠に固定するものだったのである。比較的大型の台枠が幸いし、ヨンサントウでは無事2段リンクに改造された。

 落成時の所有者は日本石油KK・常備駅は柏崎であった。戦争中は石油共販KK、石油配給統制KKの所有を経て、戦後再び日本石油KKに返還された。その後常備駅は秋田港、隅田川と変遷し、昭和39年6月以降は根岸駅常備となった。現在はタキ1000JR形がたむろする根岸界隈も、開業当初はこのような渋い車の棲家だったのである。昭和45年7月に廃車となった。


【特別編241】020724作成、021213リンク変更、031231R4、050425R4A、070604R4A2、090701R4BY。

タ900形921の写真

【写真1241】 タ900形921 昭和44年12月4日 高島貨物駅にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】