吉岡心平のマーク

タキ2600形42638

私有貨車

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タキ2550形
タキ2700形

 番号
[ロット表]

タキ42624
タキ42642

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特別編166
特別編168

積荷
●構造

入口


 木村さんからのリクエストはタキ42638だ。メールには「ドームが妙に小さいと」ある。特定番号機が話題に上るようになるとは、貨車趣味も成熟したものだ。

 閑話休題、早速写真を引っ張り出したところ、確かにドームが小さくアンバランスな外観である。
 貨車研究のセオリーに従って、第一に車歴を調べて見た。その結果、本車は昭和27年3月にタキ1400形1425として造機(当時の社名は運輸機材)で誕生したが、僅か2年後の昭和29年3月、新潟でタンク体周囲に保温用の断熱材とキセを追加し、タキ2800形2811となった。更に昭和47年8月、タンク内面にゴムライニングを日本海ゴムで追加したことで、現在のタキ2600形42638となったことが判った。
 ドームが小さいのは、種車となった造機製のタキ1400形から引き継いだと考えられる。そこで、造機製のタキ1400形は何両あったかを調べて見ると・・・
 タキ1424、25 S2708、09 KK鉄興社
 タキ1440、41 S2801 東洋曹達KK
 タキ1442    S2801 運輸機材KK
 タキ1467    S2809 大阪曹達KK
 タキ1483    S2810 大阪曹達KK
 タキ1484    S2907 昭和電工KK
の6ロット8両が在籍したことが判った。

 これらについて、写真でそのスタイルを検証して見よう。写真2のタキ12801は、昭和35年1月に

タキ1440から改造されたもので、この車両もドームが小さい。タンク受台には、初期の造機製の特徴がはっきり残っている。翻ってタキ42638の受台はと見れば、タキ2800形への改造の際、新潟で新品を製作したようだ。

 写真3のタキ2840は、昭和30年9月に若松で、タキ1483を改造した車両。のっぺりとしたタンク体キセは若松製の特徴である。ドームは小振りだが、今回紹介した4両中では最も大きいように見える。時期的に最後の製作だからだろうか。

 写真4のタキ42609は、タキ1467から昭和31年3月に改造されたタキ2838からの再改造車。本車もドームが小さい。保温キセは後天的に更新されたようだ。幅の狭いタンク受台は後期の造機製タイプで、種車のものをそのまま使ったようだ。

 以上のようにドームが小さいことは、造機製タキ1400形の普遍的な特長であることが判った。
 今回あえて細かく解説したのは、保温キセなど後天的改造で付け加えられたものは、ユーザーや時期による影響を強く受けるが、ドームのサイズのように基本部分のスタイルを決めるのは、タンク車の製造メーカーであることを理解して欲しかったからである。

 なおタキ42638は、平成12年度末では現存しているようだが、今年で50歳となることを考慮すれば、まさに奇跡といって良いかもしれない。


タキ2600形42638の写真

【写真1167の1】 タキ2600形42638 昭和57年10月9日 岩瀬浜駅にて P:吉岡心平

タキ2800形12801の写真

【写真1167の2】 タキ2800形12801 平成7年7月31日 羽前水沢駅にて P:遠藤文雄

【遠藤さんから貴重な写真を提供して頂きました】

タキ2800形2840の写真

【写真1167の3】 タキ2800形2840 昭和49年2月21日 安治川口駅にて P:吉岡心平

タキ2600形42609の写真

【写真1167の4】 タキ2600形42609 昭和56年8月19日 浜小倉駅にて P:遠藤文雄

【遠藤さんから貴重な写真を提供して頂きました】


【特別編167】020218作成、020913リンク変更、040327R4、050412R4A、070831R4A2、090626R4BY、130703R4C。