吉岡心平のマーク

タム7900形7900

私有貨車

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タム7800形
タム8000形

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特別編164
特別編166

●積荷
●構造

入口


 昨日、三色パンを食べた。中に餡子とジャムとクリームの入ったパンである・・と、これまでに無い奇妙な前振りでスタートする今回は、生涯で車体に3色を纏ったタンク車のお話である。
 タム8400形の解説でも述べたように、ボギー車と比較して2軸車は自重に余裕が少なかった。このためタムの末期には極限設計車が輩出したが、本形式もその一つであった。

 タム7900は15トン積メチルメタアクリレート専用車で、昭和36年11月に日車本店で製作された。一形式一両であった。
 積荷はアクリル樹脂の原料モノマーで、加熱により重合・変質するため、低温で輸送する。タム7900形の場合も、タンク周囲に保冷用の断熱材とキセが設けられた。ところがこの部分に軸重制限のしわ寄せが来たのである。軽量化のためキセ外板をアルミ製としたにも拘らず、断熱材を所望より薄くせざるを得なかったのである。そこでキセ

外皮を地肌で使用することで、輻射による熱吸収を軽減することにした。こうして誕生したのが銀キセ元祖の「シルバータム」である。なお当時は、新製時のタンク踏板や梯子は黒色に塗り別けられている点に注目頂きたい。
 その後、何回目かの全般検査の際、銀地肌から白色塗装に変更されたようである。写真165の2はこの時代の貴重な証拠写真だ。更に他の積荷の輸送用に転用された晩年は、最早保冷の必要も無くなり、写真165の3のように、通常の黒色塗装となった。

 落成時の所有者は日本瓦斯化学工業KK・常備駅は新崎であった。同社は海軍の技術者達が設立した会社だけに、なかなか凛々しい社紋である。昭和46年12月、所有者は三菱江戸川化学との合併により、三菱瓦斯化学KKとなっている。平成7年12月、常備駅は藤寄に移り、平成12年2月に廃車となった。


●関連形式 タム8400形8401(特別編127) タムにおける極限設計車の例。

        タム9100形9100(特別編132) 昭和42年3月新潟製で、大型の2軸タンク車の例。


【特別編165】020211作成、020721リンク追加、040111R4、050331R4A、070708R4A2、081124R4BY。

タム7900形7900の写真

【写真1165の1】 タム7900形7900 P:吉岡心平所蔵

タム7900形7900の写真

【写真1165の2】 タム7900形7900 昭和48年1月13日 尼崎駅にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】

タム7900形7900の写真

【写真1165の3】 タム7900形7900 昭和57年7月4日 新崎駅にて P:吉岡心平