吉岡心平のマーク

タキ4700形4700

私有貨車

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タキ4650形
タキ4750形

 番号
ロット表


タキ4702

 ページ
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特別編113
特別編115

積荷
●構造

入口


 希硫酸は濃硫酸に次いで古い化成品だが、鉄を激しく腐食するため、内面を鉛貼りとしたタンク体が使われてきた。ところが鉛は重量が大きく、軟らかいため衝撃に弱い欠点があった。このため昭和25年、合成ゴムの一種のクロロプレンゴムを防食材料とすることが案出され、登場したのがタキ1700形の1750番台であった。
  タキ1700形1750番台は3両新製された後、従来のタキ1700形の鉛ライニングを更新したものが改造車が登場した。ところがこれと並行して今回紹介するタキ4700形が誕生したのだから、話はややこしい。編年的に整理すれば・・・
  ・昭和29年10月 汽車新製
   タキ1750〜52
  ・昭和29年12月 汽車改造
    タキ1753、54 タキ1702、16を改造
  ・昭和31年3月  日車改造
   タキ4700、01 タキ1701、12を改造
  ・昭和32年12月 汽車改造
    タキ1755、56 タキ1711、22を改造
  ・昭和35年3月  汽車新製
   タキ4702
 と、こんな具合である。何か区別する理由があった筈だが、現時点では謎のままだ。

 タキ4700は昭和31年3月日車支店でタキ1700形1701から改造された。種車は昭和25年11月日立製で、写真2から判る通り枕梁間を省略した台枠など、当時日立が日本鉱業向に量産していたタキ300形に酷似していた。

 改造では、タンク体とドームは種車のものをそのまま使用したが、内面処理は鉛からネオプレン(クロロプレンゴムの商品名)ライニングに変更された。荷役配管は種車のままの様だが、タンク踏板周囲は、全面的に更新されている。
 驚くべきことは台枠で、改造した際、種車では台枠側梁で省略されていた部位を新設・追加した。具体的手法は、不足部分に別材料を溶接する方法であり、写真を拡大すると溶接跡がはっきり見える。このような改造例は、私有貨車を30年研究している小生でも初めての経験だ。
 タンク体には鉛ライニング時代の標記である「連結注意」がそのまま残置されていた。

 落成時の所有者は日本曹達KKで、常備駅は大寺から昭和40年6月磐梯町に改称された。会社名は昭和41年12月に日曹金属KKとなったが、昭和46年度に廃車となった。


【特別編114】011013作成、011019リンク追加、020731本文修正+写真1114の2追加、020824リンク追加、021206本文修正、031230R4、040420リンク追加、050412R4A、060120ロット表追加、060822ロット表R2、
070822ロット表R3+R4A2、080315誤記訂正、080923R4BY。


タキ4700形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 旧形式 旧番号 落成時の所有者
4700,4701 S3103 日車支店▲ タキ1700 1701,1712 日本曹達KK
4702 S3503 汽車東京   日本曹達KK

タキ4700形4700の写真

【写真1114の1】 タキ4700形4700 昭和45年10月1日 青海駅にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】

タキ1700形1701の写真

【写真1114の2】 タキ1700形1701 P:吉岡心平所蔵