吉岡心平のマーク

シキ90形91

私有貨車


 私有貨車の中には、僅かだか国鉄貨車をプロトタイプとしたものが存在する。タキ3000形がその代表だが、今回取り上げたシキ90形91もそのひとつだ。

 シキ90形は30トン積落し込み式大物車で、アメリカでは「Well Hole Car」と呼ばれているように、車体に井戸のような大穴が開いた貨車である。積荷を宙吊りにして輸送する手法自身は、長物車を2両ペアで使用することで古くから実施されてきたが、専用貨車は昭和10年に登場したシキ80形がその嚆矢である。

 シキ90形は戦前製のシキ80を近代化した貨車

で、国鉄所有では昭和34年から35年にシキ90,92,93の3両が国鉄工場で内製された。シキ80形とは全溶接構造の車体とTR41C台車が主な相違点である。一方、シキ91は昭和35年8月東芝製で、恐らく東芝が最後に製作した貨車と思われる。なお、ワキ1000形のトップナンバーを製作する等、東芝もかつては貨車メーカーであったことを知る人は少ない。

 所有者は東京芝浦電気KK・常備駅は新芝浦であった。なお同社では、まったく同時に50トン積のシキ25形も増備している。昭和58年1月に浅野に異動しと、昭和59年5月には社名変更でKK東芝となった。昭和59年12月に廃車となっている。


大物車のガイド

●関連形式 シム20形20(特別編249) 昭和12年汽車東京製、15トン積で我国唯一の2軸大物車。

        シキ25形25(特別編65)  昭和35年日車支店製の50トン積落し込み式大物車。


【特別編85】010802作成、010805写真1085の2追加、020803リンク追加、031216リンク追加、040522R4、
050411R4A。

シキ90形91の写真

【写真1085の1】 シキ90形91 昭和53年11月 塩浜操駅にて P:吉岡心平

下のシキ90と比較すると、台枠上に積荷を緩衝するための受が追加されている。

シキ90形93の写真

【写真1085の2】 シキ90形90 昭和59年8月12日 村田駅にて P:吉岡心平