吉岡心平のマーク

ホキ8300形8300

私有貨車

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ホキ8100形
ホキ8500形

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ロット表


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特別編20
特別編22

積荷
●構造

入口


 今回取り上げるのは、金子さん他から要望のあったホキ8300形だ。形式の数字よりも「トウモロコシ・コウリャン」で思い出す方も多いことだろう。

 ホッパ車の場合、国鉄貨車と私有貨車の線引きは、石灰石や生石灰専用車に見られるように難しい問題である。穀物専用車として開発されたホキ2200形の場合も同様で、特に昭和40年から50年代にかけては、ホキ2200形がワキ5000形とならぶ人気車種であったことから、安定した貨車供給を願うユーザーの中には、ホキ2200形の私有貨車版を自前で製作するところが出て来た。

 ホキ8300形もその一つで、昭和49年10月に日車で17両が新製された。
 全体の構造はホキ2200形に類似するが、用途を飼料原料となる「トウモロコシ・コウリャン」に限定することで荷重を5トン増の35トンとした。さらに食用でないため遮熱板を省略した。このため従来は遮熱板に隠されていた補強リブが丸見えとなり、外観から受ける印象は一変している。内部で2分割されたホッパ体や、4個ある丸型ハッチなど、基本構造と寸法はホキ2200形と同一だ。
 落成時の塗色は黒色だったが、遮熱板を省いたため吸熱による影響が激しく、ユーザーからの要

望により、昭和53年にホキ2200形と同じクリーム4号に塗り替えられている。
 台車は新製コスト削減のため、ホキ2200形のTR211からTR41Eに変更された。ホキ2200形自体85Km/hでの運用はなく、TR211はオーバースペックだったから、結局これで良かったのかもしれない。

 所有者は全国農業協同組合連合会で、株式会社以外の所有者はタール製品や宮城県味噌醤油など例が少なく珍しいものである。常備駅は二枚橋(昭和63年3月改称後は花巻空港)で、石巻埠頭のサイロから二枚橋の工場へ「くみあい飼料」の原料を輸送していた。実際には、写真のようにホキ2200形と混用されていたようである。その後名古屋の知多に異動し、辰野への飼料原料の輸送に使用された。平成6年2月には物流部門の分離により、所有者がKKエーコープラインに変更された。その後鉄道輸送の終結により、平成8年12月に全車一斉に廃車となっている。

 なお実現はしなかったが、小麦などの輸送用私有貨車も計画されていた。本形式に遮熱板を追加したような形態で、実現していればホキ8400形にでもなったのだろうか。


●同一系列 ホキ9300形9300 昭和49年日車製、22系ホッパ車の一員。

        ホキ2200形2201 ホキ2200形の試作グループ。

●関連形式 ホキ6600形6607 ホキ2200形の父で、本形式の祖父に当たる形式。


ホキ8300形8300の写真

【写真1021の1】 ホキ8300形8300 昭和60年8月21日 石巻埠頭駅にて P:吉岡心平

ホキ8300形8300の写真

【写真1021の2】 ホキ8300形8300 P:吉岡心平所蔵


【特別編21】010207作成、010219本文修正、021128写真1021の2追加+本文修正、040425R4、050430R4A、070703R4A2、140104R4C。