吉岡心平のマーク

タキ10900形10900

私有貨車

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タキ10850形
タキ10950形

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ロット表


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特別編19
特別編21

積荷
●構造

入口


 その昔、貨車輸送が盛んだった頃は、各地の隠れた貨物駅を訪問する楽しみがあった。「乗り潰し」の向うをはって、「貨物駅往き潰し」と洒落ていた頃が懐かしい。

 今回の一枚は、そんな頃訪れた大阪東港駅でスナップしたものである。大阪東港駅は弁天町から大阪港へ向かって右側にあった鄙びた貨物駅で、苛性ソーダを主体とした化成品センターがあり、浪速駅から小運転でクレハや日本カーバイトのタンク車が発着していた。宇治駅にあったユニチカなどへは、船で輸送してきたものをここからタンク車積にして出荷していたようである。また同地には糖蜜のタンクもあり、時には写真のような珍車と出会うことが出来た。

 タキ10900形は35トン積糖蜜専用車で、昭和43年に1両、昭和54年に2両の計3両が川崎で製作された。

 タキ10900はそのトップナンバーとして昭和43年5月に落成した。タンク体は大型のドームレスタイプで、材質は普通鋼、直径は1,950mm・長さは9,640mmであった。内部には蒸気加熱管が設置されていた。
 なお3ヶ月後に製作された日車製がタキ12000形と別形式とされたのは、タンク材質が耐侯性高張力鋼に変更されたためのようだ。
 台枠は軽量化のため、タキ5750形に類似した狭幅のものを採用した。長さは10,000mmであった。このためタンク受台には逆テーパーが付き、同社製のタキ5050形を想起させる、好感の持てるバランスの取れた肢体となった。

 所有者と常備駅とは生涯一貫して「三菱商事KK・新興駅」だったが、出稼ぎ生活が長かったようで、新興ではその姿を見たことがなかった。「58−X改正」によるヤード系輸送廃止の影響により、昭和59年3月に廃車となっている。


■主要諸元
製造年   昭和43年5月
製造所   川崎
設計比重 1.3
タンク容積 26.9m3
●上廻り
タンク形態 直円筒(S1)形ドームレス
タンク材質 普通鋼
タンク板厚 胴板8・鏡板12mm
タンク直径 1,950mm
タンク長さ 9,640mm
付帯設備 蒸気加熱管
●荷役方式
荷役方式 上入れ下出し式
●下廻り
台枠形式   平形
長さ      10,000mm
BC間距離  7,000mm
留置ブレーキ 両側
空気ブレーキ KSD203−254形
台車      TR41C形

タキ10900形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 落成時の所有者
10900 S4305 川崎 三菱商事KK
10901,10902 S5406 川崎 日本甜菜製糖KK

タキ10900形10900の写真

【写真1020】 タキ10900形10900 昭和55年10月11日 大阪東港駅にて P:吉岡心平


【特別編20】010205作成、021022本文修正、040131R4、050504R4A、070210ロット表R2、070721ロット表R3+R4A2、090115R4BY、140103諸元追加+R4C。