吉岡心平のマーク

タキ14800形14804

私有貨車

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タキ14700形
タキ14900形

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ロット表

タキ14800
タキ14811

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第112週
第114週

●積荷
●構造

入口


 私有貨車の最盛期には、国鉄とメーカーが一体となって新種の貨車を開発し、新たな積荷を鉄道輸送に誘致することが盛んに行われた。今回取り上げるタキ14800形はその好例である。

 タキ14800形は35トン積カプロラクタム専用車で、昭和44年に30両、55年に4両の計34両が製作された。従来は固体で輸送していたものを、溶融状態で輸送するもので、積荷の変質温度と固化温度の範囲が狭いため、保温性能の優れたタンク車開発が、実現のポイントであった。

 タキ14804は昭和44年6月富士車両で製作された。14803〜06からなる第3ロットの一員であった。
 このグループ最大の特徴は、奇妙な形をした異径胴だ。一見すると普通の魚腹形だが、実際には円錐部がわずかに上を向き、タンク両端は中央に比べて約50mm高い。寸法は両端直径1,950mm・中央直径2,400mm、そして長さは9,550mmであった。 タンク材質は純度保持のためステンレス鋼で、周囲には保温性能の優れた厚さ150m

mのウレタン断熱材と薄鋼板製のキセ、タンク内部と弁装置廻りには蒸気加熱管が各々設置されていた。
 ところがウレタン断熱材を保温に使用したため、これの熱劣化により短期間でタンク体腐食を惹起し、昭和48年頃にタンク体を新品に更新した。本形式の場合はウレタン断熱でないと保温性能を満足できないため、新製したタンク体はステンレス製にも拘らず、ウレタン断熱材と接する外面に防食用のエポキシ樹脂塗料を塗装した。
 荷役方式は上入れ上出し方式で、配管・弁装置類は、前後スライド式の大型保温カバーに収納されていた。実際にはカバーが大き過ぎて使い難くかったようで、タンク更新に併せてカマボコ型の分割式カバーに変更された。
 台枠は35系標準で、長さは10,300mm、台車はTR41Cから、タンク体更新時にTR41DSに改造された。

 所有者は宇部興産KK・常備駅は居能で、旭化成延岡へナイロン原料のカプロラクタムを輸送していたが、平成8年7月に廃車となった。


【第113週】021027作成、031028リンク追加、031221R4、040620リンク追加、050429R4A、060826ロット表
R2追加、070718R4A2、100310ロット表を特別編956に移設。

タキ14800形14804の写真

【写真113】 タキ14800形14804 昭和50年3月7日 宇部駅にて P:吉岡心平