専用種別シリーズ 過酸化水素   

 

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専用種別

2003/9/23作成

 

タキ7650形

25トン積過酸化水素専用タンク車


タム8000形 タサ5600形 タキ1150形 タキ22800形

タム8014(私の貨車アルバム),タサ5611(私の貨車アルバム)

 
 三菱瓦斯化学は15トン積みのタム8000形を好んで増備し,20トン積みのタサ5600形には見向きもしなかった。昭和37年に6輌,翌年に2輌新製し(当時の社名は最初の2輌が江戸川化学,他は三菱江戸川化学)し,昭和38年末には8輌が運用に付いていた。過酸化水素輸送は好調で,当然,翌年もタム8000形を増備するものと思われていた。しかし,そんな期待を裏切って登場したのが25トン積みのタキ7650なのである。

 タキ7650は昭和39年2月28日に車籍編入された。タサ2300形12355からの改造で,種車の上回りを撤去し純アルミ製のタンク体を新製した。改造メーカーは強度が弱かった純アルミタンク車に革命を起こした三菱である。同社が昭和20年代後半に開発した皿形波除板と大型受台はその後のアルミタンク車の標準構造となった。

 さすが三菱だけあり,本車の形態は,従来のタム8000形,タサ5600形と異なり,強烈な印象を放っている。タンク体は台枠長さに合わせた細長く,ドーム頂

 


部は三菱の特長であるネギ坊主である。受台は,幅広の物を2組用いているのみで,他メーカー製タム8000形,タサ5600形が4組であるのに対し,自信を誇っているようだ。受板も三菱独特の形状である。なお,通気装置やマンホールなど上部付属装置は同社所有のタム8000形と同一構造としている。下回りは,種車をそのまま使用しているため,TR41A台車が特徴であったが,第二次台車改造でTR41DSに改造された。

 25トン車の増備は続かず,昭和39年7月にはタム8011が昭和40年3月にタム8012が三菱で,同年8月にタム8013,8014と新製が続いた。三菱瓦斯化学のタキ車への本格移行は昭和40年10月に登場するタキ1150形30トン積車まで待たねばならなかった。

 三菱瓦斯化学過酸化水素タンク車艦隊の一車として長らく運用されてきたが,25トン積みと半端な荷重のため晩年は南四日市駅にいる時間が長くなっていた。過酸化水素タンク車最後の日となった平成15年3月に廃車解体された。

 ロット 1/タキ7650

 製造:S39三菱

 実容積 :22.4m3

 台車  :TR41A

タンク内径 :1,885mm

タンク長さ  :5,500mm

台枠長さ  :9,000mm

BC間距離 :6,200mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行  H041206南四日市