専用種別シリーズ 過酸化水素   

 

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専用種別

2003/11/14修正

 

タキ22800形

35トン積過酸化水素専用タンク車


タム8000形 タサ5600形 タキ1150形 タキ7650形

タム8014(私の貨車アルバム),タサ5611(私の貨車アルバム)

 
 過酸化水素専用車もタンク車発展の法則に従って,15トン積み,20トン積み,25トン積み,30トン積みと進化し,最終形式がこの35トン積みのタキ22800形である。

 本形式は純アルミ製タンク体を持った従来構造の車輌と,アルミクラッドタンク体を持った車輌に分かれるが,両者の構造・形態はかけ離れており,後者は本来別形式とすべき車輌であった。


タイプ1 純アルミ製タンク体
 日本パーオキサイドが 郡山工場から北海道への輸送効率増大を目的として増備した初の35トン車で,昭和47,48年に22800〜22805の6両が富士重で製造された。外観・構造は昭和44年に製造された30トン積タキ1150形1166〜1170のタンク体を約1.5m,台枠を1m延ばしたものである。純アルミ製タンクのため連結注意の扱いを受ける。
 タンクは過酸化水素の分解を防止するため高純度アルミを使用した一般的なドーム付きの直胴型で,内部に補強用としての6枚の皿形波よけ板が設置されている。板厚は胴板が中央部20mm,中央部以外13mm,鏡板16mmである.受台は純アルミ車特有の大型のもので,固定は押え金方式である。
 積込みはタンク上部の液出入管から行い,荷卸しは反応性積荷のため液出入管とドーム側面の空気管を用いた空気加圧方式で,空気管には異物混入による分解を防ぐためエアフィルタが設けられている。液出入管と空気管にはS字管が付き,配管は全て純アルミ製である。またドーム側面には分解,発生した酸素を逃がすための通気口が設けられ,通気状態で輸送を行う.

 


タイプ2 アルミクラッドタンク構造

 昭和54年になると関西及び四国の自社ストックポイントへの輸送量増強のため,22806〜22809の4両を増備した。メーカーは富士重工である。さらに,昭和57年には東海電化工業が本形式ラストナンバーでる22810を日車で製造した。
 外観・構造はタキ29100形式で開発されたアルミクラッド製タンクを採用したため一変した。これにより,自動化ヤードの連結制限解除と保安対策強化が実現できた。
 タンク体は外面を機械的強度の高いアルミ合金(胴13mm,鏡板20mm)とし,内面に過酸化水素の分解を防止する純アルミ(胴4mm,鏡板5mm)としたアルミクラッド材を使用した。また,過酸化水素専用車で初めてのドームレス構造となった。タンク体外周にアルミ合金製の9本の補強環を設けることで,内部の波よけを無くすことに成功した。さらに押え金方式の大型受台は補強環と一体構造となった。
 タンク体上部にはマジンガーZタイプの大型のプロテクタが付き,その細部形状は富士重製と日車製で異なっている。荷役方法はタイプ1と同様であるが,日車製の22810は液入管と液出し管が別々に設置されている。
 さて,22810には隠れたエピソードがある。日車では富士重工から図面提供を受けタンク体構造と寸法は22806〜22809と同一とし,製造に入った。しかし完成してみると,自重が設計値より850kg重くなってしまった。軸重制限内であったため,空車換算両数を1.6から1.8とすることで切り抜けたようであった。この原因は,アルミクラッド材は製造時の板厚寸法公差が大きく,22810は全てプラス方向となったためであった。

 昭和59年に22810が廃車され,つい最近まで郡山工場内で防火水槽として台車付きで使用されていた。平成に入ると輸送量は激減し平成7年に日本パーオキサイド所有車全車が一挙に廃車となり,日本パーオキサイドの過酸化水素タンク車は全廃した。さらに,平成10年には22810が廃車され本形式は消滅した。

 ロット 1/タキ22800

 製造:S47富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :11,100mm

台枠長さ  :11,300mm

BC間距離 :8,000mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:山崎武司  S570522港北

 ロット 1/タキ22801

 製造:S47富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :11,100mm

台枠長さ  :11,300mm

BC間距離 :8,000mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:梶山正文  S551011浪速

 ロット 2/タキ22802

 製造:S47富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :11,100mm

台枠長さ  :11,300mm

BC間距離 :8,000mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:吉岡心平  S510321川之江

 ロット 2/タキ22803

 製造:S47富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :11,100mm

台枠長さ  :11,300mm

BC間距離 :8,000mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:福田孝行  S630607東港

 ロット 3/タキ22804

 製造:S47富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :11,100mm

台枠長さ  :11,300mm

BC間距離 :8,000mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:吉岡心平  S490728五稜郭

 ロット 3/タキ22805

 製造:S47富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :11,100mm

台枠長さ  :11,300mm

BC間距離 :8,000mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:梶山正文  S500218黒磯

 ロット 4/タキ22806

 製造:S54富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR225

タンク内径 :1,900mm

タンク長さ  :12,138mm

台枠長さ  :13,300mm

BC間距離 :9,600mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:福田孝行  S560606浪速

 ロット 4/タキ22807

 製造:S54富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR225

タンク内径 :1,900mm

タンク長さ  :12,138mm

台枠長さ  :13,300mm

BC間距離 :9,600mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:中村雅司  H060921浪速

 ロット 4/タキ22808

 製造:S54富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR225

タンク内径 :1,900mm

タンク長さ  :12,138mm

台枠長さ  :13,300mm

BC間距離 :9,600mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:山崎武司  S551026苫小牧

 ロット 4/タキ22809

 製造:S54富士重

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR225

タンク内径 :1,900mm

タンク長さ  :12,138mm

台枠長さ  :13,300mm

BC間距離 :9,600mm

所有者

 日本パーオキサイド株式会社

 

撮影:後山廣春  S600310浪速

 ロット 5/タキ22810

 製造:S57日車

 実容積 :31.8m3

 台車  :TR225

タンク内径 :1,900mm

タンク長さ  :12,138mm

台枠長さ  :13,300mm

BC間距離 :9,600mm

所有者

 東海電化工業株式会社

 

撮影:福田孝行  S580424桜島

写真提供のお礼

 梶山正文様,中村雅司様,後山廣春様,吉岡心平様,山崎武司様

 から貴重な写真を提供して頂きました。ありがとうございます。