専用種別シリーズ 過酸化水素   

 

HOME

 さくいん

銘板研究室

構造研究室

貨車写真館

貨車CAD

専用種別

2003/4/25作成

 

タキ1150形

30トン積過酸化水素専用タンク車


タム8000形 タサ5600形 タキ7650形 タキ22800形

タム8014(私の貨車アルバム),タサ5611(私の貨車アルバム)

 
 過酸化水素専用車は昭和37年に誕生したタム8000形15トン積車と20トン車が併行製作された。これは,三菱江戸川化学が15トン積車を,安宅産業と日本パーオキサイドが20トン車を好んで用いたためである。

 昭和40年になると,三菱江戸川化学が初の30トン車を増備した。メーカーは同社のタム8000形を数多く手がけて汽車であった。

 これがタキ1150形であり,昭和49年までに汽車,三菱,帝車,富士重,日立で1150〜1178の29輌が新生された。所有者は三菱江戸川化学以外に日本パーキサイドと安宅産業である。さらに過酸化水素専用車唯一の所有者として丸正産業があった。

タイプ1 汽車前期型(手ブレーキ付)
 汽車製の1150,1151,1153,1154及び帝国車輌製の1155,1156が該当する。タム8000形を賞用した三菱江戸川化学が昭和40〜42年に増備した車輌である。タンク体は汽車製のタム8000形を一回り太くして長さ方向にストレッチしたもので,ドーム上部に集中配置させた荷役装置と大小2組づつの受台が,強烈に汽車製であることをアピールしている。昭和42年製帝国車輌の2輌は汽車の図面により製造されたようで,寸法を含め同一である。

タイプ2 汽車中期型(片側ブレーキ付)
 昭和42年8月19日に車籍編入された1157は片側ブレーキ付で製造された。2軸ボギータンク車の補助(留置)ブレーキ装置はデッキ上に設けた手ブレーキが常識であった。高度成長期において輸送力増大を狙い標準化されたタキ35000形は,車長をできる限り短く設計され,補助(留置)ブレーキに側ブレーキが採用された。昭和42年からはタンク車の補助(留置)ブレーキ装置は原則として側ブレーキ新製されることとなった。こうした時代背景で登場したのが本車である。設計的にはタイプ1を急遽側ブレーキに設計変更したため,主要寸法はタイプ1と同一である。台枠オーバーハング(台車中心から台枠端面までに距離)は側ブレーキ車では1500mmが標準寸法であるのに対し,手ブレーキ車と同じ1650mmで,さらに,台枠端部にはご丁寧に,デッキへの登る踏段と手摺まで設けられている。いわば,時代の狭間に咲いたあだ花であろう。

タイプ3 汽車後期型(両側ブレーキ付)
 三菱江戸川化学が昭和43,44年に増備した車輌で1161〜1165が該当する。タイプ2を両側ブレーキ化した設計で,さすがに台枠端部の踏段と手摺が廃止されたが,台枠長さはそのままであった。

タイプ4 三菱型
 三菱が製作した過酸化水素タンク車はタム8000形8011,タキ7650形7650と1152の3輌が全てであったが,強烈な個性を持っていた。所有者は全て三菱江戸川化学で,その登場順はタム2300形を改造したタキ7650が昭和39年2月と最初で,5ヵ月後にタム8011,そして最後が昭和41年2月の1152である。三菱製の過酸化水素タンク車の特徴は,2組の巨大な受台と,これまた大きな受板,さらに葱坊主形のドームである。
 タンク体は直径をタキ7650と同一としたため,本形式の他社より細く,長くなっている。

 


タイプ5 富士重前期型(締金方式)
 日本パーオキサイドの過酸化水素専用車は,全車富士重工に発注された。日本パーオキサイドは三菱江戸川化学と異なり,20トン積車であるタサ5600形を賞用し,昭和42年2月まで増備し続けた。その後の増備は30トン積車となり1158〜1159が同年3,4月に落成した。これがタイプ5で,その外観・構造は,富士重製タム5600形を太く,長くし,ブレーキ装置を両側ブレーキとしたものであった。
 受台は汽車型おなじ4組であるが,締金のある枕梁上の受台は汽車型より幅広のものを使用していた。タンク体の内径は汽車型と同一であるが,設計比が三菱江戸川化学の1.12に対し1.10と若干低いため,長さは260mm長い。
 空気抜きはフィルター入りの大口径フランジによりドームに取り付けられ,荷役時に使用するS字管付きの空気管もフィルタ入りの大口径フランジでドームに取り付けられている。S字間付きの液出し入れ管はタンク体胴板に取り付けられている。

タイプ6 富士重後期型(押さえ金方式)
 日本パーオキサイドの昭和44年増備車1166〜1170は,タンク固定方法が従来の締金方式から押さえ金方式へと近代化され,受台2組となったことと合わせ,外観が一新した。また,本形式唯一の押さえ金方式である。受台は,大型で幅広となり,上部付いた2本のリブがチャームポイントである。主要寸法を含め,これ以外の部分はタイプ5と同一である。

タイプ7 日立前期型(積空ブレーキ装備)
 日立製は全て安宅産業と丸正産業向けに製造され,東海電化工業が生産した過酸化水素の輸送に従事していた。昭和44製造の1171〜1175が最初で,前年に製造されたタサ5600形5615,5616をそんまま大型化したものである。ブレーキ装置は当時の定石により自動積空ブレーキとなった。受台は大型で幅広のもの2組であるが,タンク固定方法はタイプ6と異なり,締金のままであった。

タイプ8 日立後期型(TR41E12装備)
 5年ぶりの昭和49年に製造された1176〜1178は当時の標準台車であるTR41E12で落成した。これ以外はタイプ7と同一で,昭和49年当時,締金方式での新製は珍しかった。

 日本パーオキサイド所有車8輌は苫小牧,博多港などの遠隔値へ輸送されていたが,国鉄の貨物駅廃止統合と貨物輸送縮小のあおりを受け,昭和59年11月に1158,1159,1166,1169が廃車された。昭和62年には1159が三菱瓦斯化学へ売却された。残る1167,1168,1170の3輌は,所有者こそ変更されなかったが,三菱瓦斯化学へレンタルされていたが,平成8年に廃車となった。
 安宅産業と丸正産業所有車は昭和52年,東海電化工業へ異動した。桜島などへ輸送されていたが,着駅の廃止により職を失なった。三菱瓦斯化学の過酸化水素輸送に従事していたが,1171〜1174,1176〜1177が平成元年に廃車され,1175,1178が平成10年に廃車された。
 三菱江戸川化学は三菱瓦斯化学へ改称した。日本パーオキサイドから異動した1輌を加え,全14輌が過酸化水素専用タンク車最後の日まで使用され続けていた。

 ロット 1/タキ1150

 製造:S40汽車

 実容積 :26.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行 S570718南四日市

 ロット 1/タキ1151

 製造:S40汽車

 実容積 :26.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行  S570718南四日市

 ロット 2/タキ1152

 製造:S41三菱

 実容積 :26.7m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,885mm

タンク長さ  :10,010mm

台枠長さ  :11,000mm

BC間距離 :7,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行  S570718南四日市

 ロット 3/タキ1153

 製造:S41汽車

 実容積 :26.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

撮影:福田孝行  S570411東港

 ロット 3/タキ1154

 製造:S42汽車

 実容積 :26.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行  H080504南四日市

 ロット 4/タキ1155

 製造:S42帝車

 実容積 :26.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行  S630702安治川口

 ロット 4/タキ1156

 製造:S42帝車

 実容積 :26.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 撮影:福田孝行  H050807南四日市

 ロット 5/タキ1157

 製造:S42汽車

 実容積 :26.8m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行  S580327野田

 ロット 6/タキ1158

 製造:S42富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド

 

撮影:吉岡心平  S520305宇部港

 ロット 6/タキ1159

 製造:S42富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド→三菱瓦斯化学

 

撮影:福田孝行  S620406東港

 ロット 6/タキ1159 

 

所有者

 日本パーオキサイド→三菱瓦斯化学

 撮影:福田孝行  S620808東港

 ロット 6/タキ1160

 製造:S42富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド

 

撮影:堀井純一  S4308--大船

 ロット 7/タキ1161

 製造:S43汽車

 実容積 :26.7m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

撮影:福田孝行  S611213野田

 ロット 7/タキ1162

 製造:S43汽車

 実容積 :26.7m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

撮影:福田孝行  H030609南四日市

 ロット 7/タキ1163

 製造:S43汽車

 実容積 :26.7m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

撮影:福田孝行  S611213野田

 ロット 8/タキ1164

 製造:S44汽車

 実容積 :26.7m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

撮影:福田孝行  S620606東港

 ロット 8/タキ1165

 製造:S44汽車

 実容積 :26.7m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,350mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :6,700mm

所有者

 三菱江戸川化学(→三菱瓦斯化学

撮影:福田孝行  S570718南四日市

 ロット 9/タキ1166

 製造:S44富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド

撮影:吉岡心平  S540619郡山

 ロット 9/タキ1166 

 

所有者

 日本パーオキサイド

 撮影:山崎武司  S571107港北

 ロット 9/タキ1167

 製造:S44富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド

撮影:吉岡心平  S610102博多港

 ロット 9/タキ1168

 製造:S44富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド

撮影:福田孝行  H020115東港

 ロット 9/タキ1169

 製造:S44富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド

撮影:吉岡心平  S500301宇部港

 ロット 9/タキ1170

 製造:S44富士重

 実容積 :27.3m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,610mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 日本パーオキサイド

撮影:福田孝行  H020430東港

 ロット 10/タキ1171

 製造:S44日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 安宅産業→東海電化工業

撮影:福田孝行  S570718南四日市

 ロット 10/タキ1172

 製造:S44日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 安宅産業→東海電化工業

撮影:福田孝行  S600601桜島

 ロット 11/タキ1173

 製造:S44日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 丸正産業→東海電化工業

 撮影:福田孝行  S620808東港

 ロット 12/タキ1174

 製造:S44日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 安宅産業→東海電化工業

 撮影:福田孝行  S570718南四日市

 ロット 12/タキ1175

 製造:S44日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41C

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 安宅産業→東海電化工業

撮影:福田孝行  S570718南四日市

 ロット 13/タキ1176

 製造:S49日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41E12

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 安宅産業→東海電化工業

撮影:福田孝行  S580424桜島

 ロット 13/タキ1177

 製造:S49日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41E12

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 安宅産業→東海電化工業

撮影:福田孝行  S570307桜島

 ロット 13/タキ1178

 製造:S49日立

 実容積 :27.2m3

 台車  :TR41E12

タンク内径 :1,950mm

タンク長さ  :9,620mm

台枠長さ  :10,000mm

BC間距離 :7,000mm

所有者

 安宅産業→東海電化工業

撮影:福田孝行  S570307桜島

写真提供のお礼

 堀井純一様から貴重な写真を提供して頂きました。ありがとうございます。 

 吉岡心平様から貴重な写真を提供して頂きました。ありがとうございます。 

 山崎武司様から貴重な写真を提供して頂きました。ありがとうございます。