タキ１０６００形１０６０６

　タキ１０６００形は３５トン積セメント専用車で、１０６００〜１０６６９の５ロット７０両が昭和４３〜４６年に製作された。メーカーは川崎一社である。

　本形式は３５トン積セメント専用車の標準形式であったタキ７３００初代形の荷役装置を、エアスライド式からエアスライドと圧送式の併用としたものである。内圧に対するタンク体の強度を高めるため、タンク材質は耐候性高張力鋼を採用しし、タンク断面もタキ７３００初代形の長円から圧力に強い真円に変更した。またタンク形状は全体の形状は上辺を一直線とした魚腹型異径胴で、タンク上に

見える安全弁は圧送式の証である。

　タキ１０６０６は昭和４３年４月川崎製で、１０６００〜１０６１１の１２両ロットであった。

　所有者は明星セメントＫＫ・常備駅は糸魚川であった。当時、圧送式セメント専用車では既に４０トン積のタキ１１５００形があったが、本形式を製作したのは運用線区の軸重制限によるものと思われる。本ロットの他の１１両は昭和５７年１２月に日本セメントＫＫに移籍したが、本車は唯一明星セメントのまま昭和６０年８月に廃車となった。