吉岡心平のマーク

シサ1形1

私有貨車


 いろいろある貨車の形式で、「シサ」はその中でも珍品の一つで、僅かに2形式2両が在籍しただけである。

 シサ1は昭和34年5月に富士車両が製作した20トン積大物車である。
 一見しただけでは普通の弓形梁式大物車だが、車体全体を貫通する中梁がなく、低床面は落込み式大物車のように穴が空いていた。但し4本ある横梁は固定式のため、穴は5分割されている。台枠長さは11,500mm・BC間距離は8,200mm、そして低床面長さは4,800mmで、これらの値はシキ40形と全く同一であった。また低床面高さは側梁部は720mmと高いが、横梁部では575mmと低い。こうしてみると、シキ40形の低床面構造を変更し、横梁で全荷重を負担するため、荷

重を20トンに制限した構図が見えてくる。
 ブレーキ装置は空気+手だが、シリンダおよび空気溜はシキ25形のように台車上の高床部に設置せず、敢えて低床部内に収納した。正規のシリンダは寸法が支障して使用できなかったため、2軸貨車に使用するKD180形シリンダを2組装備し、前後の台車別に作用するようにした。写真1で、弛め弁の引棒が車体前後の2箇所にあるのが判るだろうか。台車はTR41Aであった。

 落成時の所有者は酒井鉄工所KK・常備駅は湊町で、同社が唯一所有した大物車であった。昭和38年10月、東京芝浦電気KKに移籍し、常備駅も同社三重工場の脇に位置した朝明信号場に変った。あまり使用されなかったようで、昭和56年6月に廃車となった。


大物車のガイド


【特別編275】020921作成、031208リンク追加、040910R4、050412R4A。

シサ1形1の写真

【写真1275の1】 シサ1形1 昭和56年2月21日 朝明信号場にて P:遠藤文雄

【遠藤さんから貴重な写真を提供して頂きました】

シサ1形1の写真

【写真1275の2】 シサ1形1 昭和56年2月21日 朝明信号場にて P:遠藤文雄

【遠藤さんから貴重な写真を提供して頂きました】

中梁の欠如と、低床面にある穴がはっきり見える。