吉岡心平のマーク

秩父テキ100形105

私有貨車


 テキ200形のページをご覧になった畏友遠藤さんから、これに纏わる写真を送って頂いた。そこで今回は、この中から秩父テキ100形を紹介する。

 昭和30年代に入ると、セメント輸送も次第にホッパ車を用いたばら積輸送に移行したが、袋詰セメントによる輸送もまだまだ主力であった。そこで袋詰セメントについては、パレット使用による合理化が案出された。
 このため秩父鉄道では、昭和33年日車支店でテキ50形51を試作した。同車は荷重30トンボギー車で、側面は6分割の引き戸により総開き式とされ、パレット荷役に適した構造となっていた。

 これを量産化したのが今回紹介するテキ100形で、昭和34年6月日車支店で30両が製作された。テキ50形と比較すると車体長さと幅は同一だが、高さは150mm高くして容積を増加し、荷重を

1トン増の31トンとした。この点を除けば、6分割された側引き戸や屋根上の歩み板、そして平滑な妻板と3分割された通風口など、テキ50形の特徴は全て引き継がれている。

 閑話休題、遠藤さんからの手紙によれば、秩父テキ100形やテキ200形の運用先の一つに王子駅があった。現在「北とぴあ」になっている場所が貨物扱所で、これに接して秩父セメントのストックポイントがあり、秩父から袋詰セメントが到着していた。使用車は秩父の社車(スム・テム・テキ)がが主体だが、国鉄のテム・ワキも使用されていた。変った車両としては、昭和40年代初期には「秩父−飯田町・王子・大崎・渋谷間専用」と標記したワ12000・22000形がいたと言う。昭和50年代以降はテキ200形の使用頻度が増加し、大半は同車による輸送となったが、昭和55年4月頃に輸送自体が廃止されたとの事である。


●同一専用種別 テキ1b形20(特別編87)      昭和37年12月汽車東京製で、住友セメント所有。

           テキ200形206(特別編252)   昭和41年6月日車支店製で、秩父セメント所有の私有貨車。

           西武テキ401形406(特別編52) 三菱鉱業セメントKK所有の袋詰セメント輸送車。


【特別編260】020828作成、040910R4。

秩父テキ100形105の写真

【写真1260の1】 秩父テキ100形105 昭和51年10月3日 王子駅にて P:遠藤文雄

【遠藤さんから貴重な写真を提供して頂きました】

テキ200形215の写真

【写真1260の2】 テキ200形215 昭和53年2月19日 王子駅にて P:遠藤文雄

【遠藤さんから貴重な写真を提供して頂きました】

同一角度で見たテキ200形と秩父テキ100形を良く比較して頂きたい。