吉岡心平のマーク

西武テキ401形406

私有貨車


 西武鉄道テキ401形は袋詰セメント専用の37.5トン積鉄製有蓋車。三菱鉱業セメントの私有車で、車籍が西武鉄道に編入されていた。メーカーは銘板では昭和44年若松だが、平成13年に刊行された新資料(参考文献)では、昭和44年10月に西武所沢工場が製作したとされている。若松が契約した車両を西武所沢が製造したものと思われる。

 37.5トンとはなんとも半端な荷重だが、自重21.5トンを足すと総重量は59トンとなり12トン軸の場合の制限54トンをオーバーする。このため車軸にはタキ43000形と同じ14トン軸を用いているが、有蓋貨車での使用例は国鉄トキ9000形など少数で、珍しいものだ。
 車体はワキ5000形を短くしたようないでたちだが、妻板は平板を梁で補強したものと大きく異なる。模型ファンにはキット加工の格好の題材と思うのだが如何だろうか。

 所有者は三菱鉱業セメントKK・常備駅は東横瀬で、運用は東横瀬から狭山ヶ丘へのピストン輸送であった。写真は西武線のホームから撮影したもので、この時は3両が貨物ホームに並んでいた。廃車時期は残念ながら未調査である。ご存知の方がいらしたら是非教えて頂きたい。

■テキ401形の運用について
 その後、貨車運用の研究で著名な渡辺一策さんから、掲記につきご教授を頂いたので、お許し

を得てここに掲載する。

 今回私がトワイライトマニュアルに西武の砕石列車のことを書くに当り、当時の調査ノートを調べたところ、登場してまもない昭和45年現在のテキ401形の運用も記載されていました。以下にそれらをご紹介します。

 2250レ(E851牽引)東横瀬0619・セメントタキ10両,テキ4両,ワフ2両組成→狭山ヶ丘0836・テキ4両解放→池袋1001・セメントタキ10両隅田川駅へ継送
 2255レ(E851牽引)池袋1103・燃料タキ5両浮島町駅等から継送,ワフ2両組成→狭山ヶ丘1226・テキ4両(空車)連結→東横瀬1431・燃料タキ5両,テキ4両三菱セメント専用線へ

 当時の三菱セメント関係で狭山ヶ丘を通る列車は、セメントがタキ10両編成で池袋経由隅田川行が1本、タキ8両編成で国分寺経由南橋本行が1本、別に燃料輸送のタキ編成が池袋−東横瀬間1本あり、テキ401はそのなかの時間帯の良い列車を選んで併結されていました。従って狭山ヶ丘での滞留時間は比較的短く、1日1往復運用効率100%の輸送がされていました。概略の貨物ダイヤはピクトリアルNo.230号(1969年11月)p.26に載っています。
 なおテキの組成両数は実際には4両の時と3両の時があり、後年は大体3両が多かったようです。


●参考文献 西尾恵介 「所沢車輌工場ものがたり(下)」:RMLIBRALY,31巻,p.47(2002)

●同一専用種別 テキ1b形20(特別編87)       住友セメントKK所有の袋詰セメント輸送車。

           テキ200形206(特別編252)    昭和41年日車支店製で、秩父セメント所有。

           秩父テキ100形105(特別編260) 昭和34年日車支店製で、テキ200形の先祖。


【特別編52】010505作成、010715運用情報追加、020712本文修正+リンク追加、020813リンク追加、
020828リンク追加、020925本文サイズ変更、040809R4。

西武テキ401形406の写真

【写真1052の1】 西武テキ401形406 昭和58年1月15日 狭山ヶ丘駅にて P:吉岡心平

西武テキ401形406の妻板の写真

【写真1052の2】 西武テキ401形406の妻面 昭和58年1月15日 狭山ヶ丘駅にて P:吉岡心平