吉岡心平のマーク

テキ1二代形20

私有貨車


 タンク車よりホッパ車・大物車のリクエストが多いと書いたが、テキも人気車種の一つで、多数の方々からご要望を頂戴した。

 テキ1二代形は35トン積鉄製有蓋車で、昭和37〜38年に川崎と汽車で64両が製作された。本来、鉄製有蓋車は国鉄が用意するのが筋なのだが、当時は貨車不足が深刻だったため、民間資金活用の見地から私有貨車の保有を認めたものである。このため編入時の契約では、用途は「袋詰セメント専用」、運用は特定区間(下記参照)のみとの制限を受けていた。なお、テキ1初代形は国鉄の25トン積鉄製有蓋車で5両あり、落成時はオテワ1440形と称していた。

 写真のテキ20は昭和37年12月汽車東京製で、車体は全鋼製で低く角ばった屋根が特徴である。扉は上吊りの両開きのものが片側当り2個づつ設けられていた。車体自身強度があるためか、台枠は平型で魚腹構造でない点に注意して欲しい。ブレーキは空気+片側、台車はTR41Cである。

 所有者は磐城セメントKK・常備駅は美濃本巣で、昭和38年10月に社名が住友セメントKKに変更された。セメントの輸送合理化により、早期に用途を失い、昭和46年5月に廃車となった。僅か8年余の生涯であった。なお車令若くして廃車とな

ったため、台車は当時製作された同社のタキ1900形新製車に流用されたと言われている。

■テキ1形の運用区間について

●私有貨車の車籍編入について(運転局、営業局)  鉄道公報 昭和37年12月15日付

 本日総裁達第602号で私有貨車取扱手続の一部が改正され、袋詰セメント専用鉄製有蓋車が車籍編入されることになったのが、この貨車は、運用区間を次の通り特定して使用することが条件となっているので、取扱上注意されたい。

(1)発駅 美濃本巣
(2)着駅
 東海道本線 笹島、安城
 高山本線  小ケ野、飛騨萩原、高山、飛騨古川
 中央本線  大曽根、大井、中津川
 山陽本線  加古川、姫路、網干、相生
 播但線    飾磨
 姫新線   本竜野、播磨新宮
 山陰本線  二条、綾部、福知山、入鹿、豊岡、
         香住、浜坂
 紀勢本線  津、尾鷲、熊野市、新宮、串本、
          紀伊田辺、藤並、朝来
 福知山線  柏原、石生


●同一専用種別 テキ200形206(特別編252)    秩父セメントKK所有の袋詰セメント輸送車。

           秩父テキ100形105(特別編260) 昭和34年日車支店製で、テキ200形の先祖。

           西武テキ401形406(特別編52)  三菱鉱業セメントKK所有の袋詰セメント輸送車。


【特別編87】010806作成、020712本文修正+リンクを追加、020813リンク追加、040203R4、050413R4A。

テキ1二代形20の写真

【写真1087の1】 テキ1二代形20 P:吉岡心平所蔵

テキ1二代形52の写真

【写真1087の2】 テキ1二代形52 昭和45年11月1日 郡山駅にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】

こちらは昭和38年7月汽車東京製で、落成時から大越駅に配置されていた。