吉岡心平のマーク

タ300形300

私有貨車

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タ1形
▼タ350形

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ロット表


タ302

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特別編229
特別編231

●積荷
●構造

入口


 木村さんのリクエストにお答えして、有蓋車のようなタンク車として有名なタ300形を取り上げる。

 タ300形は液化エチレン専用車として、昭和34〜35年に5ロット8両が汽車大阪で製作された。

 積荷のエチレンは有機合成原料として用いる高圧ガスで、最高充填圧力が13.23MPa(135Kgf/cm2)と高いため、通常の高圧ガスタンク車では輸送不可能であった。そこで本形式では、超高圧ガスを輸送する出来るように、高圧ボンベを複数結合してタンク体とするマルチボンベ方式と呼ばれる構造を、我国で唯一採用した。
 タンク体は直径232mmX長さ7,210mmの継目無し容器(所謂ボンベ)を84本集合したもので、取出入弁と安全弁は車端部に設置されている。ボンベは10段積で、台枠とはトラス状のフレームと積付装置により締結されていた。周囲には車体風の遮熱用キャノピーがあり、屋根には通風器が3個あった。また特殊設備として、寒冷時エチレンの気化を助けるための温水散布装置が、最上部ボンベと屋根の間に設置されていた。

 台枠は平台枠だが、マルチボンベ方式のため、通常のタンク車より幅広である。自重が44トンと大きいため、ブレーキは前後台車別に2組設けられていた。台車は通常のTR41Cであった。
 塗色は法規制に基づきねずみ色で、専用種別名は当初「エチレンガス」であった。これはエチレンは9.7℃以上では液化しないため、冬季以外は圧縮ガスとして輸送する点を考慮したためであったが、後に法規と整合させるため「液化エチレン」に変更した。荷重も当初7トンと標記されていたが、運賃計算に特例を設け、この形式に限り小数点以下2桁まで標記することになった。従って荷重は車両によって6.16〜6.25トンと異なっていた。

 所有者は日本曹達KK・常備駅は二本木であった。もともと石油化学コンビナートへ進出するまでの繋ぎ輸送であったため、僅か数年で使用されなくなり、昭和39〜40年に7両がタキ2600形へ改造された。唯一残されたタ306は二本木駅構内に留置されていたが、昭和47年3月に廃車となった。


●同一形式 タ300形302(特別編508)   昭和34年製の第二ロット。
●関連形式 シキ1二代形1二代(特別編235) 2年後に製作されたエチレン積フレキシバン専用大物車。


【特別編230】020705作成、020713リンク追加、040718R4、040726リンク追加、050211R4A、070714R4A2、

070913ロット表R3。


タ300形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 落成時の所有者 荷重(トン)
300 S3406 汽車大阪 日本曹達KK 6.17
301,303 S3407〜3409 汽車大阪 日本曹達KK 6.18
302 6.19
304,305 6.16
306 S3502 汽車大阪 日本曹達KK 6.25
307 S3509 汽車大阪 日本曹達KK 6.24

タ300形300の写真

【写真1230の1】 タ300形300 浜安善駅にて P:鈴木靖人撮影/堀井純一所蔵

【堀井さんから故鈴木さんが撮影された、貴重な写真を提供して頂きました】

タ300形306の写真

【写真1230の2】 タ300形306 昭和47年6月16日 二本木駅にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】