吉岡心平のマーク

タキ600形603

私有貨車

 形式
索引

タキ500形
タキ650形

 番号
[ロット表]


 ページ
索引

特別編227
特別編229

積荷
●構造

入口


 ここで紹介するタキ600形は、クラシックファンには垂涎の形式である。また模型ファンには、アメリカ型のタンク車を活用するヒントとなりそうだ。

 タキ603は、昭和6年3月に日車でタキ50形53として、54と共に製作された。
 当時はボギータンク車はまだ数が少なく、構造が確立されていなかった時期であった。このため本車は、当時のアメリカ製ガソリンタンク車を忠実に模倣したものとなった。

 タンク体は鋲接で、その周囲には手摺が、台枠側梁上には歩み板が設置されていた。タンク受台はタンク体との間に緩衝用の木材を挟み込むタイプである。タンク帯金には緊締用としてターンバックルが用いられていた。タンク固定はセンタアンカと側梁・タンク体間の押え板の併用で、3軸タンク車で活用されていた流儀を取り入れたようだ。
 タキ53として落成時は紐育スタンダード石油会社所有・糸崎駅常備であった。所有者名は昭和7年8月にソコニーバキュームコーポシーション、昭和9年2月にスタンダードヴァキュームコーポレー

ションと変わり、昭和8年9月には石油駅常備となった。同駅は現在の浜安善駅で、開戦後にスパイ対策の一貫として改名されたのは有名な話だ。昭和17年4月には石油共販KKに統合された。同社は昭和17年7月、石油配給統制KKとなった。

 昭和17年10月、アルコール専用に種別変更され、タキ600形タキ603に改番された。ガソリンに混合する燃料アルコールを輸送するためで、所有者はアルコール輸送KK・常備駅は高鍋となった。その後、昭和22年7月には内外輸送KK所有、肥後大津駅常備となった。昭和24年3月、スタンダードヴァキューム石油に返還され、専用種別もガソリンに戻った。本来ならばタキ50形に戻すべきだったが、結局そのままであった。当初は、連合軍専用車として使用され、昭和25年1月の徴用解除で糸崎駅常備となったが昭和26年2月に再徴用された。昭和27年11月に再度解除され清水駅常備となり、昭和37年1月の会社分割ではエッソ・スタンダード石油KKの持ち物となった。昭和41年9月、塩釜埠頭へ異動したのが最後で、昭和51年度に廃車となった。享年45才であった。


タキ600形603の写真

【写真1228】 タキ600形603 昭和46年8月22日 郡山にて P:堀井純一

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】


【特別編228】020703作成、021011リンク追加、031231R4、050427R4A、070823R4A2、090408R4BY、131002R4C。