タキ1650形1651 |
私有貨車 |
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●積荷 |
■入口 |
「ハブ爆着クラッド法」と聞いて、タキ1650形を想起するのはかなりの貨車通だが、その中身を理解している人は更に少ない。そこで今回はその「種明かし、たねあかし〜」 タキ1650形は昭和35年に1650は日立、51と52が三菱で製作された30トン積カセイソーダ液専用車。既にタキ2600・2800形が存在したカセイソーダ30トン車の世界で、新形式となった理由は、タンク内面をステンレス製としたためである。 国内有数の火薬メーカーである旭化成では、火薬の販路拡大が課題であった。火薬の爆発力を利用して金属同士を接合する「爆着」は、常法ではうまく溶接できない物にも適用できるメリットがあったが、コストが高いため実用例は少なかった。一方、純度保持のためタンク内面をステンレス貼りとすることは一般化していたが、コストを下げるためステンレス板を薄くすると、熱で変形し溶接が困難となる問題があった。そこでステンレス薄板の貼り付けに爆着工法を応用したのが、 |
旭化成が考案した「ハブ爆着クラッド法」である。ステンレス薄板の継目に紐状の火薬を配置し、起爆することでステンレス薄板をタンク内面に貼り付ける方法であった。 タキ1650形はこの「ハブ爆着クラッド法」のテストベッドとして製作されたもので、自社用のタンク車をモチーフに施行実験と長期信頼性試験を実施したものである。当時ステンレスタンク車のメーカーは日立・三菱が著名であったため、両者に発注・競作された。なお、旭化成所有車で日立製は極めて珍しい存在である。比較のため、タンク内面処理以外は従来車と全て同一とされたため、タキ2600・2800形とは番号を見なければ見分けがつかない。 所有者は旭化成工業KK・常備駅は南延岡で、主として九州内でのカセイソーダの輸送に使用されていたが、平成元年10月に廃車となった。 |
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【特別編124】011110作成、040114R4、050504R4A、060904ロット表R2追加、070826ロット表R3+R4A2、 |
ロット | 番号 | 製造年 | 製造所 | 落成時の所有者 |
1 | 1650 | S3910 | 日立 | 旭化成工業KK |
2 | 1651,1652 | S3907 | 三菱 | 旭化成工業KK |
【写真1124】 タキ1650形1651 昭和51年10月13日 八代駅にて P:吉岡心平