吉岡心平のマーク

タキ5600形5602

私有貨車

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タキ5550形
タキ5650形

 番号
ロット表


タキ5607

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特別編58
特別編60

●積荷
●構造

入口


 今回のリクエストでは、関東電化のタキ5600と改造車のファミリーを取上げる。

 タキ5600形は30トン積シクロヘキサノン専用車で、昭和32年から38年に14両製作された。このうち関東電化の所有車は5600〜04、09〜13の10両で、タキ5603は富士重、他は造機製であった。積荷は特異臭ある油状液体で、斯く言う小生も学生時代、糖類の水酸基をシクロヘキシリデン化するのに愛用したものである。これが手に付くと臭いんだよね・・・

 実際の積荷は「宇部アノン」と通称されるシクロヘキサノンとシクロヘキサノールの混合物で、設計比重は0.95・タンク容積は32.3m3である。一口で言ってタキ3000形の短縮版で、普通鋼製のタンク体は直径2,050mm・長さ10,126mm、荷役装置は通常の下出し方式で、台枠も長さ11,000mm・軸距7,700mmの平形であった。

 積荷の「宇部アノン」は、宇部興産向のカプロラクタム原料として、昭和32年以降大量に販売されたが、その後同社はシクロヘキサノンの自社生産を開始したため、昭和40年5月を最後に販売は終息した。
 その後のシクロヘキサノンの用途は高沸点溶剤などに限られたため、大量の余剰車を生じた。これらが各種形式の種車となり、昭和40年7月にタキ5610〜13がタキ5650形5650〜53に、昭和41年2〜11月にタキ5600、01、03がタキ5550形5550〜52に、そして昭和45年7月と10月にタキ5604、09がタキ5050形5068と5076(前者は第26週で紹介)に改造されている。

 こうして唯一生き残ったタキ5602をここに紹介するが、所有者は関東電化工業KK・常備駅は渋川で、上記したように仕事が無くなってからは、渋川のヌシ的存在であった。昭和61年11月、改造車ファミリーと一緒に廃車となった。


●関連形式 タキ5550形5551(特別編61) 25トン積シクロヘキサン専用車で、タキ5601の改造車。

        タキ5650形5651(特別編60) 28トン積シクロヘキシルアミン専用車で、タキ5611の改造車。

        タキ5050形5068(第26週)   35トン積塩酸専用車で、タキ5604の改造車。


【特別編59】010525作成、020202本文修正+リンク追加、020721本文修正+リンク追加、021209本文修正、031219R4、050426R4A、060821ロット表R2追加、071008ロット表R3+R4A2、080530R4BY。


タキ5600形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 落成時の所有者
5600,5601 S3204 造機 関東電化工業KK
5602 S3412 造機 関東電化工業KK
5603 S3505 富士重 関東電化工業KK
5604 S3508 造機 関東電化工業KK
5605〜5608 S3508〜3509 富士重 三井物産KK
5609 S3512 造機 関東電化工業KK
5610,5611 S3607 造機 関東電化工業KK
5612,5613 S3811〜3812 造機 関東電化工業KK

タキ5600形5602の写真

【写真1059】 タキ5600形5602 昭和51年8月7日 渋川駅にて P:吉岡心平