吉岡心平のマーク

タキ18300形18304

私有貨車


 今回は面白いりクエストを頂いた。小池さんは長野県で生まれ育ったが、当時良く見かけた貨車に飯田線の『北殿駅常備』と標記されたタンク車があった。今となっては形式も専用種別も覚えていないが、ずっと心の中でつかえているので、これについて教えて欲しいとの事である。

 早速小生自作の「私有貨車車歴データベース」を検索したところ、お尋ねのタンク車はタキ18300形の18303〜05とタキ5050形5085、86だったようである。そこで今回はタキ18300形について紹介することにしよう。

 タキ18300形は35トン積液体ポリ塩化アルミニウム専用車で、詳細は拙著「私有貨車図鑑」をご参照いただきたいが、このうち北殿駅に常備されていた18303〜05の3両は昭和53年6〜7月に日車で製作された。

外観と構造はタキ7750形の発展形で、内面ゴムライニングされた保温用キセ付タンク体を持つが、液比重の関係からタンク容積が約20%大きいため、車体長は約2m長くなりスリムなスタイルとなった。なお写真は落成後わずか3ヶ月の姿で、車体中央部の塗装の艶が消えているのは、積込時の漏液による腐食を防止するため、ゴム系の耐酸ペイントを塗布したためである。良いアクセントとなるので、模型ファンは真似をして見たら如何だろうか。

 落成時の所有者はソーダ商事KK・常備駅は北殿だったが、昭和54年4月に新日化産業との合併によりソーダニッカKKとなった。昭和60年頃、常備駅は酒田港に変更されたので、この間が北殿駅常備と言うことになる。晩年は塩酸専用車への改造も検討されたが実現せず、平成9年9月、3両同時に廃車された。


タキ18300形のロット表

●同一形式 タキ18300形18300 昭和45年日車支店製で北海道曹達KK向。トップナンバー。  

●関連形式 タキ7850形7850 NAL系、35トン積塩化カルシウム専用車。

        タキ22700形22702 NAL系、保温付鉄肌の35トン積カセイソーダ専用車。


【特別編37】010321作成、011221リンクを追加、040119R4、041020R4A、051209リンク追加、070612R4A2。

タキ18300形18304の写真

【写真1037の1】 タキ18300形18304 昭和53年9月10日 塩浜操駅にて P:吉岡心平

タキ18300形18304標記部の写真

【写真1037の2】 標記部の拡大 昭和53年9月10日 塩浜操駅にて P:吉岡心平