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コキ19000形19002

JR貨車


 「たから号」に始まった5トンコンテナ輸送が定着するにつれ、更なる発展のためコンテナのサイズアップが計画された。検討過程では様々な案が浮上したが、結局ISO20フィートを10トンコンテナとして投入することになり、この積載用として開発されたのが、今回紹介するコキ19000形である。

 コキ19000形は昭和44年に10両製作された。この位の数だと特定メーカー一社に割り当てるのが普通だが、本形式は多数のメーカーが製作を担当した。これは将来の量産を想定していたのかも知れぬ。

 基本構造はコキ10000形がベースとされ、空気バネ台車や電磁ブレーキを装備した100km/h走行可能な高速貨車の一員である。
 我国初の5トン・10トンコンテナの兼用車で、10トンコンテナの積載時は5トン用緊締装置を跨ぎ越すため、コンテナ底面を台枠上180mmとし

た。このままではコンテナ頂部が車両限界を支障するため、床面をコキ10000形より90mm下げてレール面上1,010mmとした。
 余談だが、本形式は15トン積30フィート・20トン積40フィートコンテナの積載も想定した設計となっている。
 この低減量90mmは、台枠厚さを60mm、台車枕梁厚さを30mm薄くすることで実現した。これに伴い、台車はTR203Aとなったが、併せて保守軽減のため台車内でのブレーキシリンダ装備を止め、車体側装備となった。

 落成後は汐留〜梅田間に投入され、その後は汐留〜東広島間での使用が長かったようである。10000系に併結出来る20フィートコンテナ輸送車として重宝されていたようだが、国鉄時代に3両が事故などで廃車となり、残る7両がJR貨物に承継された。晩年は写真のようにコキ10000形代用として使用されていた。


●関連形式 コキ10000形10000(JR貨車022) 10000系コンテナ車の標準形式。


【JR貨車038】060614作成R4。


JR貨物継承車番号表 年度別両数変遷

No. 番号 廃車 No. 番号 廃車 No. 番号 廃車 No. 番号 廃車
19000 H0601 19002 H0512 19005 H0312 19008 H0601
19001 H0403 19004 H0605 19007 H0603 19008 H0601

 

【写真3038】 コキ19000形19002 平成2年9月2日 東京貨物ターミナル駅にて P:吉岡心平

写真から、30フィート・40フィート積載時の緊締装置の位置を推定してみるのも一興だ。