吉岡心平のマーク

シム2000形2000

私有貨車


 九州にお住まいの松村さんのリクエストは、シム2000形自動車輸送用大物車である。その昔、香椎でご覧になったことがあるそうだ。

 ク5000形登場前夜の一時期、自動車輸送用の私有大物車が流行った時代がある。シム2000形もそのひとつで、ダイハツがハイゼット・コンパーノの輸送用として、昭和38年10月日車本店で製作された。驚くべきは最初から30両まとめて作ったことで、実用化への強い意志を感じさせる。

 構造は、基本的には2軸長物車で、車体上に自動車を固定するための平板状荷台が追加されている。荷台の上には積載する自動車のタイヤガイドと、固定用の緊締金具が設置されていた。

 本形式の特徴は大型の「コンパーノ」と小型の「ハイゼット」の2車種の積み分けが可能な点にあった。このため荷台は全長方向に2分割され、ハイゼット3列積とコンパーノ2列積とを、ターンテーブル式に回転することで対応した。これにより荷台上は両者のタイヤガイドが直交し、写真3に示すように複雑な様相を呈していた。

 所有者はダイハツ工業KK、常備駅は川西池田であった。昭和40年12月の「車運車」復活によりシムからクム2000形式となった。昭和41年9月、工場の最寄駅として北伊丹駅が新設されたため、常備駅はここに変わった。晩年は同駅の側線で長期間留置されていたが、昭和52年6月に30両まとめて廃車となった。


大物車のガイド

車運車のガイド


【特別編293】021023作成、030823リンク変更、040509R4、050411R4A。

シム2000形2000の写真

【写真1293の1】 シム2000形2000 P:吉岡心平所蔵

皆でお尻を向けて失礼します。

シム2000形無番号の写真

【写真1293の2】 シム2000形無番号 P:吉岡心平所蔵

手前がコンパーノ、奥がハイゼット。

シム2000形2012の写真

【写真1293の3】 シム2000形2012 P:吉岡心平所蔵