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タキ1600初代形1601

私有貨車

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タキ1500形
タキ1600二代形

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特別編224
特別編226

●積荷
●構造

入口


 岡崎の筒井さんから、我国のタンク車の中でも珍車のひとつであるタキ1600初代形のリクエストを頂いた。

 タキ1600初代形は40トン積糖蜜専用車で、昭和24年に11両が東洋レーヨン、5両が若松車両でそれぞれ製作された。廃車となったC53形のテンダー2両を永久連結として1両のタンク車としたもので、資材の欠乏していた当時ならではのアイデア商品である。

 種車となったテンダーについては、未解明の謎がある。完成したタンク車が16両なのに対し、払下げテンダーは33両あった。何故1両多く払下げられたのだろうか?

 いろいろ調べた結果、C53形のうち特急牽引機などは、テンダーをD50形の8−20形と振替えた車両があり、払下げテンダーのうち一両(C5386)がこれに該当することが判った。
 これらの事実から、混入した8−20形テンダーの代車として払下げを1両分追加したと推論していたのだが、その後発表された記事1)で、東洋レーヨンで改造した11両の種車番号に、C5386が明記されていたのである!

 現時点で提示できる仮説としては・・
・C5386は後年12−17形テンダーに再振替さ

れていた(これを匂わせる資料もあり)。
・資料は計画段階のもので、現車を見てから8−20形テンダーの混入に気づき振替えた。
・・・などであろうか。いずれにせよ、当時の蒸気機関車に詳しい方からのご教示をお待ちする。

 車体はC53形蒸気機関車のテンダーの炭庫部分を切断し、水槽部分をタンク体としたものである。炭庫底板は撤去し、平板による天井を新設した。設計比重は1.4、荷重は40トンであった。
 荷役装置は上入れ下出し方式で、車体中央に積込用のマンホールを、台車の間に吐出管をそれぞれ新製・追加した。
 台枠・台車は炭水車のものをそのまま利用したが、ブレーキ装置は貨車用と交換し、新設したエアータンク等は連結面に設置した。前後の車体間はドローバーにより連結されているが、蒸気機関車側の受を持つ車両が前位となっている。
 2車体永久連結のため、車号は前後で同一とされ、各々「タキ16XX前」「タキ16XX後」と標記することで前後を区別した。なお「前後」標記は他に例が無く、本形式独自のものである。

 タキ1601は昭和24年9月製で、トップナンバーと共に最初期に製作された車両である。所有者は内外輸送KK・常備駅は新興であった。使用された期間は短く、5年後の昭和29年11月に廃車となっている。


●参考文献 「変身!蒸気が貨車に、電車が貨車に、そしてまた客車になった話」、吉川文夫;トワイライトゾーンマニュアル

        第7巻、pp.110(1998)。


【特別編225】020625作成、040114R4、050427R4A、070924R4A2、080902ロット表R3、090408R4BY。


タキ1600初代形のロット表

ロット 番号 製造年 製造所 旧形式 旧番号(推定を含む) 落成時の所有者
1600初代,1601〜1609 S2409〜2411 東洋レーヨン C53形炭水車 1〜4,6,8〜11,29,35,41,48,49,53,54,74,81,82,86,91,95(22両) 内外輸送KK
1610〜1615 S2411 若松車両▲ C53形炭水車 24,27,28,31,46,50,55,58〜63,79(14両) 内外輸送KK

タキ1600初代形1601の写真

【写真1225】 タキ1600初代形1601 P:吉岡心平所蔵