吉岡心平のマーク

三井三池タオ34

私有貨車


 久しぶりに三井三池のタンク車を紹介する。今回取り上げたタオ34は外部加熱管付の濃硫酸専用車で、その奇妙奇天烈さでは同社所有車の中の真打であった。同種の車両としては、タオ17、31、33〜35、48、49の7両が確認されている。

 タンク体は普通鋼製で、後天的改造により載せ変えたと推定されるもの。落成時よりタンク直径が細く、鏡板の丸みが強い。タンク体を延長した形跡がなく、外部加熱管を装備したことから、高比重かつ冬季凍結の恐れのある高濃度の発煙硫酸を積載するため改造されたとするのが妥当なようだ。タンク固定はセンタアンカ方式で、タンク体と受台間には木片が挟み込まれている。太いタンク

の受台に細身のタンクを積載したため、木片にテーパーが付いた点に注目のこと。鏡板にある大型の手摺は、三井三池のプラクティスのようだ。
 台枠は「三井三池標準型」とでも称すべきもので、落成時は連環連結器を装備していたため、BC間に比べてオーバーハング長が長い。ブレーキ装置は、空気ブレーキはなく側ブレーキがあるだけである。台車も三井三池の標準形で、TR20をコイルバネにしたような構造である。

 写真は三池港にあった検車施設で検査中の姿で、まさに社紋を描いている所だったようだ。線内の濃硫酸輸送に使用されていたようだが、何時の間にか姿を消している。


●関連形式 三井三池タオ40(特別編4)  タキ300形改造と推定される車両。

        三井三池タオ42(特別編15) 昭和16年若松製で、濃硫酸から重油専用となった車両。


【特別編92】010814作成、040228R4。

三井三池タオ形34の写真

【写真1092】 三井三池タオ34 昭和50年3月3日 三池港駅にて P:吉岡心平