貨車銘板研究室−026

運輸工業

昭和33年 運輸工業株式会社 札幌 (タキ3600形3607)

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2002/9/21 作成

■社名・工場の変遷

昭和22年9月

創立

運輸工業(株)
昭和35年4月 廃業  

■ 昭和33年 運輸工業株式会社 札幌 写真134        P:吉岡心平

【吉岡さんから貴重な写真を提供して頂きました】

  運輸工業(株)は北海道の数少ない車両メーカーとして,昭和22年9月に設立された。満州引揚者により創立されたといわれている。工場は札幌市内にあり,当初,蒸気機関車や貨車の修繕を行っていたようであるが,やがて市電や簡易軌道の車輌製造を行われている。蒸気機関車の修繕が主要な業務は蒸気機関車の修繕であったため,地方私鉄の内燃化が進むにつれて経営が悪化し,昭和35年4月に廃業した。

 運輸工業製の私有貨車は非常に少なく,昭和25年に当時余剰となったタム100形の下回りを利用して製造されたタム400形1570,1571の2輌と,今回紹介するタキ3600形3606,3607の2輌,合わせて4輌である。新製はタキ3606,3607の2輌のみである。そんな,超レアの銘板なのである。そんな銘板を撮影していた吉岡さんに感謝。

 

 銘板は,上段に「札幌」,中段に「運輸工業株式会社」と株式会社まで入り,下段は「昭和33年」と製造年が入ったものである。よく見ると,上中下段で字体が異なっている,変わった銘板である。

 

 銘板の主は,昭和33年8月29日に車籍編入された,30トン積糖蜜専用車である。所有者は合同酒精(株),常備駅は旭川で,合成アルコールの原料輸送用として新製された。合同酒精はこの後昭和42年までに本形式を5輌増備している。

 タキ3600形は,新製された初めてのボギー車で,昭和28〜42年に13輌が新製された,糖蜜専用の標準車である。本形式は,運輸工業製の2輌を除き,全て飯野製である。

 本車の製造は,前年に製造された3604,3605をモチーフにしたらしく,外観・構造はそっくりである。幅180mmのチャンネルを使用した台枠,1段もののタンク歩み板が特徴であるが,これも3604,3605のデザインそのものである。走り装置は新製時TR41Cであったが,昭和45年の第一次台車改造によりTR41Dに改造された。

 昭和54年に僚車6輌と共に内外輸送,伏木駅に異動した後,昭和61年に廃車された。 

写真135 タキ3600形3607

昭和50年5月23日 伏木

【堀井さんから貴重な写真を提供して頂きました】

同一専用種別


貨車銘板-006

  タキ3600形3608

 

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